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訪日消費救う「夜遊びマネー」 日本人も楽しめる娯楽を“夜の市長”が案内 (1/2ページ)

 パブやバーでの飲食、演劇鑑賞など夜の経済活動「ナイトタイムエコノミー」が注目されている。先行する欧米諸国では「ナイトメイヤー」(夜の市長)も登場するなど、夜の街を楽しめる環境整備で消費や雇用につなげる動きが盛んだ。日本でも頭打ちとなっているインバウンド(訪日外国人客)の消費を伸ばそうと、都市ごとの取り組みが活発化している。(田村慶子)

 欧米から大きな後れ

 ナイトタイムエコノミーとは一般的に日没から日の出まで(午後6時~翌午前5時ごろ)の経済活動を指す。米ニューヨークでは午後8時以降に開演するショーやライブ、オランダの首都アムステルダムでは美術館や博物館の夜間活用、英ロンドンではパブ、ディナークルーズなど、欧米の各都市ではナイトライフを楽しむさまざまなコンテンツがある。

 夜間の経済規模は、ロンドンが間接的な波及効果も含めると年間約400億ポンド(約5兆7千億円)、雇用効果が約72万3千人に上る一方、日本ではインバウンドでにぎわう大阪府でも1次波及効果含め約1・9兆円(このうち大阪市が約1兆円)、雇用効果は約21万人にとどまる。このため、大阪観光局の溝畑宏理事長は「将来的には大阪全体で2兆円、3兆円に伸ばしたい」と意気込む。

 政府もこの分野を重視し、昨年12月20日に閣議決定された令和2年度予算案では夜間市場の創出に対して観光庁に10億円の新規予算を計上した。

 少ない定番の娯楽

 観光庁が発表した平成30年の「訪日外国人消費動向調査」によると、旅行消費額は過去最高の4兆5189億円を記録。だが、円安や中国人客の爆買いが一巡したことなどから、1人当たりの旅行支出は15万3029円と前年より0・6%減少し、訪日消費の頭打ちが懸念されている。

 消費の伸びしろや、特定の観光スポットが混雑する「オーバーツーリズム」の解消としても期待される夜間経済だが、訪日旅行でナイトライフに満足する外国人客はまだ少数だ。

 日本政策投資銀行と日本交通公社は昨年10月、12カ国・地域に住む海外旅行経験者を対象にした意向調査を発表。訪日旅行で満足したのは伝統的な日本料理や自然・風景の見物、温泉などが上位にランクインする一方、ナイトライフ体験は50の選択肢のうち32位だった。逆に不満な点では6位に入り、特にマレーシアや英国での不満度の高さが目立つ。「夜ならこれ、といった知名度のある定番の娯楽が少ない」(大手旅行会社)との声が上がる。

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