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訪日消費救う「夜遊びマネー」 日本人も楽しめる娯楽を“夜の市長”が案内 (2/2ページ)

 JTB総合研究所の安藤勝久・主任研究員は「訪日客だけに焦点を合わせると逆に国内客には敬遠されてしまう」と指摘した上で、「成功例のある欧米では、ナイトライフを楽しむ現地の文化をたまたま外国人観光客が楽しむ構図がある。日本人が日常的に楽しめるコンテンツであることに加え、日本やその地域ならではの要素も必要」と話す。

 「夜の市長」活用も

 こうした中、東京や大阪でも取り組みが始まっている。東京都豊島区に都市観光ホテル「OMO(おも)5東京大塚」を30年5月に開業した星野リゾートは、宿泊客の街歩きに同行してガイド役を務める「OMOレンジャー」のサービスを導入。下町風情の残る居酒屋などをめぐる夜の楽しみ方を提案している。

 大阪では道頓堀商店会や大阪観光局など11社・団体が「道頓堀ナイトカルチャー創造協議会」を昨年11月に設立。道頓堀エリアで訪日客を主要ターゲットに夜間観光のコンテンツ開発に向けて知恵やノウハウを集める話し合いを始めた。

 協議会にはNTTドコモやパナソニック、富士通などICT分野のほか、南海電気鉄道、ナイトクラブのプロデュース業者も名を連ねる。食やエンタメの情報発信力を強める実証実験や、令和7(2025)年開催の大阪・関西万博との相乗効果を念頭にしたコンテンツ開発も進める方針だ。南海は「交通の改善などでの貢献を検討」、パナソニックは「(LED照明で実績の多い)イルミネーション演出に可能性がある」と話す。協議会に参画するJTBによると「治安維持の観点から夜間パトロールのあり方についても協議している」という。

 また、欧米の先進例を取り入れる動きとして、文化・経済振興を通じて夜の街づくりを推進するナイトメイヤーの存在がある。ナイトメイヤーは飲食やエンターテインメントなど夜の楽しみをPRすると同時に、産業と住民の間に立つ調整役である。沖縄県沖縄市では昨年10月、同市出身で人気グループ「DA PUMP」メンバーのISSAさんがナイトメイヤーに就任。東京では渋谷区観光大使ナイトアンバサダーを務めるヒップホップ歌手のZeebra(ジブラ)さんが「東京ナイトメイヤー」の発足準備委員会設立を宣言した。

 ロンドンやアムステルダムでは自治体がナイトライフに通じた民間出身者を指名。ロンドンではコメディアンで元DJのエイミー・ラメ氏が就任した。JTB総研の安藤主任研究員は「ナイトメイヤーは夜間経済が活発になることで生じる課題の解決策を提案するなど、地域コミュニティーを守るうえで重要な役割を担う」と説明している。

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