リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

キーコーヒー・柴田裕社長(2-2) 焙煎ノウハウ伝授 「コト消費」を喚起

 --コーヒー文化の創造に取り組んできた

 「コーヒーは文化として私たちの暮らしを豊かにする。その魅力を広げていきたいと考え、1955年にプロ向けコーヒー教室を始めた。喫茶店の店主ですらコーヒーの正しい知識を把握しづらかった時代で、コーヒー人口の拡大には正しい知識の普及が必要と感じたからだ。60年にはテレビでコーヒー教室の放映をスタート、コーヒーを一般化する足掛かりを作った。2008年にはコーヒー教室を一般にも公開、これまでに培ったコーヒーのノウハウを生かした講座を開始し、コーヒーのいれ方、楽しみ方を伝えている」

 --モノからコトへの消費の変化にも対応する

 「本社を構える東京・虎ノ門エリアのシンボルストリートの新虎通り沿いに18年5月、コーヒーの焙煎ノウハウを時間単位で教える新業態『CRAFT SHARE-ROASTERY 錠前屋珈琲』を開設した。趣味でコーヒーをいれたい人が増えているからで、技術鍛錬が必要な焙煎工程を専任スタッフがアドバイスする。コーヒーにおけるコト消費を実現できると好評で、愛知県など遠方からも予約して来る。コーヒー文化の新たな発信拠点として活用したい」

 --イベントも開催している

 「国際協定によりコーヒーの新年度が始まる10月1日を『コーヒーの日』と定め、この日に『工場直送チャリティカフェ』を本社で開催。社員が試飲・選定しイベント向けに製造したブレンドコーヒーなどを数量限定で販売し、売り上げの一部と募金を寄付している」

 「100周年の恩返しとして食文化に貢献する目的で一般財団法人『キーコーヒー柴田裕記念財団』を設立。コーヒーやそれにまつわる食文化などへの研究を支援することにした。19年度の第1回の研究助成は済んでおり、これから第2回の応募が始まる」

 --信条は

 「『ドラマのない人生に真の幸せはない』。障壁を喜ぶわけではないが、プロジェクトが思ったように進まなかったり、イベントが台本通りに行かなかったりしたとき、何とかして乗り越えようと闘志がわく。もし乗り越えられたら些末な嫌なことは忘れ、喜びだけを感じる。昨年の台湾・台東県での『百年珈琲樹』記念式典で、中国語でスピーチするミッションがあったが、発音が難しい上、種類も多くかなり苦労した。しかし台東の地域振興に貢献し、100年を超えたつながりを続ける契機になればとの思いから乗り越えることができた。地元の人々に驚きとともに好評を得た」

 --コーヒーの飲み方は

 「平均すると1日4、5杯は飲んでいる。子供のころからの習慣で朝起きて飲む。飲み方は体のコンディションで変わる。疲れたときは砂糖とミルクをたっぷり入れたウインナーコーヒーやカプチーノがいい。くつろぐというよりも、スイッチを入れるときに飲む」

 --休日の過ごし方は

 「単館上映の欧州映画を見に行くことが多い。妻と出かけるが、今年に入り『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』を鑑賞した。英国の実在する漁師バンドのサクセスストーリーだが、普通イメージする英国と異なる風景が新鮮だった。月に2回ほど映画館に通うが、一番のお気に入りは『セント・エルモス・ファイアー』。大学を卒業したばかりの米国人グループが大人に成長する過程を描いた映画だ」

 --趣味は

 「ピアノを再開した。自由な時間ができたので習い始めた。昔からベートーベンの『月光』を弾きたかったからだが、難しくて音符をたどってもなかなかうまく弾けない。ジョギングも毎朝、スポーツジムで1時間ほどゆっくり走っている」

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