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価値の再定義の要素は探索、創出、表現

 企業の既存事業が安定期から衰退期へ向かう環境にあって、社長や役員は事業部長、部長クラスに「第2の創業期だ」「イノベーション(革新)を生み出そう」「何でもいいから新しいことをやれ」「ブルーオーシャン(未開拓市場)戦略に取り組め」「好きなようにやっていいから」などと指示を出す。言われた方は「何をしていいのか分からない」状況になり、筆者に相談が寄せられる。(ビジネスリノベーション社長・西村佳隆)

 そこで、リノベーション(価値の再定義)アプローチの全体感をお伝えしよう。抽象的・概念的なので、自分の仕事に当てはめてみてほしい。

 新たな取り組みを始める場合、一直線に話が進むのではなく、「ぐるぐる回る」。らせん階段をイメージするといい。ぐるぐる回りながら、最初は少しずつ前進していく。その構成要素は大きく分けて価値探索、価値創出、価値表現の3つ。探索→創出→表現→探索…と進める。この3つの構成要素には、より粒度の細かい要素がそれぞれ存在する。

 価値探索の中には外的要因(時代や業界の風)、内的要素(自社の強み、顧客設定、顧客ニーズ・ウオンツ)、仮説探索などがある。価値創出の中には意志、妄想、理想、理念、市場への洞察、仮説構築、コンセプトづくり、組織体制づくり、顧客の巻き込みなどがある。また、価値表現には情報価値づくり、価値表現方法、ブランディングとの整合などがある。

 探索、創出、表現の3要素の中にも小さならせん階段がある。らせん階段で構成されるらせん階段というイメージだ。

 「何から始めるのか」については意志か行動の2つがある。「どうしたいのか」「なぜやるのか」「できたらいいな、こんなこと」といった意志からのスタートがお勧めだ。ただ、「下りてくる指示を効率よく実行する」という態様が染みついている人は、まず行動することを勧める。各要素のどれか取り組みやすいものを具体化してみるといい。次にそれを深めるのではなく、検討を別要素に移す。小さな「ぐるぐる」を回し始められる。

 人の直感から生まれる妄想は、イノベーションの取っ掛かりとして大切にすべきだ。ある程度、形になったら、仮想顧客に対してその可能性を検証すればいい。経営者は、構想段階の「できたらいいな、こんなこと」という妄想に対して、証拠や論理的な説明を求めてはいけない。「管理」ばかりしているから創造力が枯渇する。イノベーションはリノベーションから生まれるのだ。

【プロフィル】西村佳隆

 にしむら・よしたか 横浜国大工卒。ヤマハ発動機、ワタミ、サミーネットワークスなどを経て、2015年ビジネスリノベーションを設立。事業活性化支援を行う。日本医療デザインセンター理事、経済産業省認定経営革新等支援機関、立命館大デザイン科学研究センター客員研究員。著書『ビジネスリノベーションの教科書』で価値の再定義を主張。51歳。京都府出身。

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