広報エキスパート

宇宙航空研究開発機構 子供たちにも分かりやすく発信

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)広報部長・鈴木明子氏

 --JAXAの成り立ちは

 JAXAは、「Japan Aerospace Exploration Agency」の略で、2003年に宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団の3機関が統合して誕生。日本の航空宇宙開発政策を技術で支える研究・開発機関で、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省が共同して所管している国立研究開発法人です。事業の多くは税金で賄われており広報のターゲットは納税者、つまり国民の皆さまで、政策策定者、地方自治体、教育関係、科学団体から子供たちまで分かりやすく情報発信することが広報の使命です。

 --昨年、「こうのとり」8号機が打ち上げられました

 宇宙ステーション補給器「こうのとり」は、国際宇宙ステーション(ISS)に補給物資を運ぶ、日本が開発した無人の宇宙船です。大型実験装置、宇宙飛行士の生活用品などを搭載しISSに送り届け、補給後は、用途を終えた実験機器や使用後の衣類などを積み、大気圏へ再突入しミッションを終了します。昨年9月の種子島宇宙センターでの打ち上げの際は、主要な新聞社やキーとなるテレビ局から60~70人、取材に来ていただきました。1号機の打ち上げは09年で、年間約1機打ち上げられています。

 --宇宙から温室効果ガスの観測も行っています

 「いぶき」(GOSAT)は、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素(CO2)とメタンなどの濃度分布を観測する人工衛星で09年に打ち上げられ、18年に後継機「GOSAT-2」が打ち上げられました。目的は、地球温暖化や気候変動の科学的な理解を深めて、温暖化対策に貢献することです。地上の観測地点や、航空機からも観測していますが、観測地点数が少なく地域も限られます。「いぶき」は宇宙から地球の全域にわたり1つのセンサーで温室効果ガスを測定するので、正確、均一にデータを取得できます。

 --日々の広報活動は

 広報部は、報道メディア対応、企画普及活動の2つの事業から成り、メンバーは総勢約40人です。山川宏理事長による定例記者会見(月1回開催)、記者説明会(年間50~60回)、ニュースリリースの発行、ウェブサイトでの情報発信、機関紙「JAXA’s」(季刊)の発行、映像「JAXA Channel」の配信などメディアミックスにより、最新の宇宙航空情報を発信しています。JAXAの職員や宇宙飛行士による学校や各種団体での講演(年間400~500回)や、一般の方を対象とした「JAXAシンポジウム」の開催も行っています。

 --NHKスペシャルで「はやぶさ2」の特集もありました

 昨年3月から9月の2回にわたり、タレントの櫻井翔さんをナビゲーターとして、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到着し、小惑星の地下で物質を採取したことなどが紹介されました。多くの方から、分かりやすく、JAXAの活動がよく理解できたと言われました。

 --見学会なども積極的です

 筑波宇宙センターや沖縄宇宙通信所など全国の13施設で見学を受け入れており年間60万人の方々に来ていただいています。種子島宇宙センターは、大型ロケット発射場があり、人工衛星の最終チェックからロケットへの搭載、ロケットの組み立て・整備・点検・打ち上げ、打ち上げ後のロケットの追跡まで一連の作業を実施していますが、打ち上げのない日はバスツアーなどで小学生から年配の方まで多くの方が見学に来られます。

 --宇宙探査イノベーションハブの活動が進んでいます

 宇宙探査イノベーションハブは、異分野の人材、知識を集めた組織を構築し、これまでにない新しい体制や取り組みで宇宙探査に関わる研究の展開や社会への定着を目指しています。人類が月や火星で活動する時代が近づいています。JAXAでは、食品、住宅、クルマなどさまざまな業種の民間企業や大学、研究機関と、地上の技術の転用で私たちの生活が大きく変わる提案をいただき、共同研究をしています。こうした活動も積極的に発信していきたいと思います。(エフシージー総合研究所  山本ヒロ子)=随時掲載

【プロフィル】鈴木明子

 すずき・あきこ 1984年宇宙開発事業団(現JAXA)入社。広報、国際協力調整業務、陸域観測衛星「だいち」や温室効果ガス観測衛星「いぶき」など地球観測衛星データの利用促進業務、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)との国際協力推進、米国NASAジョンソン宇宙センター広報部などを経て、2018年から現職。早大人間科学部卒。

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