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「やよい軒」より100円高い「大戸屋」がお客を取り戻す一手はあるのか (1/3ページ)

 定食チェーン「大戸屋ごはん処」が客離れに苦しみつづけている。既存店売上高は12カ月連続で前年割れとなった。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「今の大戸屋は価格が高すぎる。負のループから抜け出すためには、筆頭株主になったコロワイドとの協業を深めるしかない」と分析する--。

 「大戸屋ランチ」が実質790円になり、客が離れた

 定食チェーン「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングス(HD)の苦境が続いている。1月の既存店売上高は前年同月比4.3%減だった。前年割れは12カ月連続になる。既存店の不振は長らく続いているが、特に今期(2020年3月期)が深刻で、19年4月~20年1月累計で前年同期比5.5%減と大幅マイナスとなっている。

 今期の不振の原因は、昨年2月に表面化したアルバイト従業員による不適切動画の拡散、いわゆる「バイトテロ」でのイメージ悪化や、昨秋の台風19号による閉店で集客に苦戦したことが挙げられる。だが、やはり根本的な「価格の高さ」による客離れが大きいだろう。

 大戸屋ではこれまでにたびたびメニュー価格の引き上げを行ってきた。昨年4月のメニュー改定では定食の一部を値上げしたほか、720円(以下すべて税込み)と安価で人気のあった定番商品「大戸屋ランチ」を廃止した。半年後のグランドメニューリニューアル時に復活したが、価格は790円と以前と比べて70円高くなっている。

 居酒屋ランチという強力なライバル

 値上げの繰り返しにより、現在の定食の価格は800円台と900円台が主流となっている。1000円以上のものも少なくない。ライバルの「やよい軒」と比べると、定食の単価は100円程度高いだろう。たとえば、やよい軒の定番「サバの塩焼定食」は670円だ。こうした価格の高さが敬遠されて、大戸屋では客離れが加速した。

 大戸屋を取り巻く環境は厳しさを増している。「やよい軒」「まいどおおきに食堂」「めしや宮本むなし」などの同業はもちろん、異業種との競争も激化している。例えばランチタイムに定食を提供する居酒屋があるが、大戸屋より安いところもあり、大きな脅威だ。

 異業種の競合は居酒屋だけではない。「吉野家」など牛丼店や「かつや」などとんかつ店、「バーミヤン」など中華料理店で定食を販売するところがあり、部分的に競合する。当然、コンビニ弁当も競争相手といえるだろう。

 主菜1品+副菜+ご飯というスタイルが基本の定食店は、主菜となる1品を専門的に販売する店と競合関係になりやすい。魚系の定食であれば海鮮系居酒屋と、とんかつ定食であればとんかつ店と、野菜や肉を炒めたり揚げたりした定食であれば中華料理店と競合する。

 専門店はその分野のプロなので、メインとなる食材を安価で仕入れやすく、定食にしても価格が抑えられる。定食店はその点で不利にならざるを得ない。

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