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新型コロナは日本企業直撃 東京五輪「延期・中止」ケースで令和2年度営業赤字予想も

 新型コロナウイルスの感染拡大が企業業績見通しを暗くしている。野村証券と大和証券、SMBC日興証券の3社は6日までに、主要企業の令和元年度業績予想をそろって引き下げた。2年度は全社が反転を予想するが、状況次第では東京五輪・パラリンピックの開催に響きかねず、「来期の営業増益は怪しくなる」(野村の元村正樹シニア・エクイティ・ストラテジスト)との声も上がる。

 野村は国内の感染拡大の影響が長引き、東京五輪中止も視野に入る厳しい状況になった場合、主要307社(金融除く)の2年度営業利益は単純計算で約11%増益から約3%増益に低下すると予想する。元村氏は「その環境下では円高が進んでいる可能性がある」と指摘し、それも加味すると営業赤字は避けられないとの考えだ。

 新型肺炎による企業業績への影響について、大和では、(1)中国での生産・経済活動停滞による需要喪失(2)中国での需要減による市況低迷(3)インバウンド(訪日外国人客)需要の減少(4)日本国内の混雑回避や自粛ムードによる需要の下振れ-など、6つの波及経路を挙げる。

 大和の阿部健児チーフストラテジストは「新型肺炎という新しい減益要因が出て事業環境は厳しくなっているが、その裏で(次世代通信規格の)5G関連など業績回復の動きも出てきている」と話す。2年度は主要197社(金融除く)の経常利益は12・0%増の35・8兆円と過去最高を予想する。ただ、東京五輪が延期・中止になった場合は「業績下振れリスクが出てくる」(阿部氏)。

 SMBC日興は現時点で、主要226社(金融除く)の経常利益について、元年度は7・3%の減益、2年度は7・3%増益を予想する。ただ、SMBC日興の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「新型肺炎の感染拡大がいつまで続くのか分からず、来期の業績は見通し切れない」と話している。

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