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日本貿易保険 新型コロナ損失、異例の免責なし

 日本貿易保険社長・黒田篤郎さん

 --貿易保険で新型コロナウイルス感染拡大による貿易や投資に対する損失を免責にしないことを公表した

 「損害保険の世界では、感染症が原因の休業や倒産、支払いの遅れなどの損失は免責扱いとしているのが一般的で、免責にしない措置は異例だ。政府出資が100%の公的貿易保険の機関としては、民間ではできないリスクをカバーする必要がある」

 --具体的には

 「新型コロナを自然災害などと同様に、不可抗力が発生したと見なす。投資先の海外工場などが原則1カ月以上休止した場合や、輸出契約の相手が倒産したり、3カ月以上の不払いが起きるなどの損失が発生した場合に保険金を支払う。通常は特定の国の取引のみを保険対象としているが、サプライチェーンが全世界に広がり、他国からの部品供給が停止したことによる損失にも対応する。例えば、タイの工場の案件で保険をかけているが、中国からの部品供給途絶で休止した場合もカバーする」

 --現時点で保険金の支払いは

 「休業が1カ月以上、不払いが3カ月以上が保険金支払いの基準なので、具体的な保険金請求はまだきていない。だが、上海の現地法人が入居しているビルが閉鎖で休業を余儀なくされ、事業再開に1カ月以上要したといった、さまざまな相談が50件以上きており、今後、多数の保険金請求があるだろう」

 --保険金支払額はどの程度になるとみているか

 「感染拡大が広がっている中で、明確にはいえないが、中国だけで試算したことがある。現在、180社で5000億円分を引き受けているが、約100億円程度の支払いになるとみている。このため世界中に感染が広がっている状況はこの数倍、数百億円程度の保険金支払いの可能性を想定している」

【プロフィル】黒田篤郎

 くろだ・あつお 東大経卒。1982年4月、通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房審議官、内閣官房内閣審議官、経産省製造産業局長、日本政策金融公庫専務などを経て、2019年6月から現職。

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