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エターナルアミューズメント/奥井建設 公共工事で実績も未払いなど続出

 ▼エターナルアミューズメント エターナルアミューズメントは3月18日、事業を停止し東京地裁への破産申請を弁護士に一任した。

 中古車販売業を手掛けていた前身企業のアミューズメント事業部を別法人化するかたちで設立。ゲーム機器や景品の販売・レンタル事業のほか、キッズ向けアミューズメント施設「Asobox(アソボックス)」やアニメ雑貨販売店「Anibox(アニボックス)」などの直営店事業に乗り出した。

 アミューズメント事業を中心に多角化を推進し、買収などを通じて業容を拡大。業界の成長企業として注目を集め、2019年5月期は過去最高の売上高約68億2700万円をあげていた。

 一方で、仕入れや新規出店にかかる資金需要も増加。金融債務が膨らみ、返済負担が重荷となって資金繰りもタイトとなっていた。そうした中、3月に入り、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う施設の休業や集客減で売り上げが激減。経営改善策を模索したものの資金繰りは改善せず、事業継続を断念した。

 ▼奥井建設 奥井建設は3月23日、東京地裁に破産を申請した。

 同社は90%以上を官公庁案件が占め、公共施設、公園土木工事や都営住宅などの建設を主体に豊富な実績を持つ。東日本大震災以降は東北の復興工事需要なども積極的に取り込み業績を拡大、2017年10月期は完工高55億2660万円を上げていた。その後も公共工事を中心に受注を獲得し、19年9月期は完工高54億7100万円を計上した。

 しかし18年1月、東京都から受注した「駒沢オリンピック公園総合運動場硬式野球場」の増築・改修工事で、トラブルから下請業者への支払い遅延が発生した。

 また、複数の取引先から請負代金請求訴訟を起こされるなどしたことで資金面に関する信用が低下した。さらに、主に積算部門の人手不足で予定していた受注を確保できず業況が悪化、今回の事態となった。

【会社概要】エターナルアミューズメント

 ▽本社=東京都千代田区

 ▽設立=2007年6月

 ▽資本金=4800万円

 ▽負債額=68億6170万円

【会社概要】奥井建設

 ▽本社=東京都足立区

 ▽設立=1955年1月

 ▽資本金=9000万円

 ▽負債額=約27億円

 〈チェックポイント〉

 エターナルアミューズメントは積極的に業容を拡大していたが、同時に資金需要も増し、銀行からの借入金も増えていた。店舗の売り上げが資金繰りに直結する綱渡り経営が続くなかでコロナショックが直撃。規模拡大を急いだあまりにキャッシュ不足を克服できなかった弱点が、最悪の結果となって表面化した。

 奥井建設は未払いや係争事件など、支払い面でのトラブルが聞こえていた。倒産後には銀行借入のために長年に渡る粉飾決算や、旧経営者による会社資金の私的流用などが明らかになった。取引先や従業員を巻き込んだ典型的な放漫経営型の倒産に、都内の公共工事で多くの実績を誇った名門企業の面影はなかった。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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