金融

緊急経済対策 中小企業には現金給付と無利子融資、大企業には政投銀の投融資枠

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、個人向けの現金給付に加え、企業や個人事業主に対する支援にも乗り出す。外出自粛要請などに伴う需要減少で売り上げが落ち込んだ事業者向け支援として、中小企業には最大200万円、フリーランスを含む個人事業主には最大100万円の給付金を支給する。また大企業向けには日本政策投資銀行が総額4千億円の投融資枠を設け、資金繰りを支える。財源を示した令和2年度補正予算案とともに、7日閣議決定する予定だ。

 中小零細企業向けの給付金は、所得が減った世帯への30万円の現金給付とは別に実施。事業収入が半分以上減少した企業が対象だ。

 また、直近1カ月の売り上げが20%以上減少した中小企業などを対象に、民間金融機関を通じて3千万円までの無利子融資も行う。融資期間は3年間で、従業員5人以下などの小規模企業は15%、個人事業主は5%以上減れば対象となる。

 売り上げが急減した中小企業には税制支援として固定資産税の減免、通常は必要な延滞税や担保の差し入れを求めない法人税や消費税の納付猶予も実施する。

 一方、大企業向けの投融資枠は政投銀の「特定投資業務」の枠組みを活用。4千億円のうち国は財政投融資で1千億円程度を出す方向だ。残りは政投銀や民間金融機関が供給する。再生案件以外での政投銀による大企業への出資はまれだ。

 政投銀の枠組みを呼び水に民間金融機関の支援を引き出し、新型コロナで打撃を受けた企業に資金を集中投入できる態勢を整える。感染拡大が長引けば、今は手元資金に比較的余裕のある大企業でも急速に財務体質が悪化する恐れがあり、大企業の経営危機が日本経済全体にダメージを及ぼす事態を防ぐ狙いがある。

 旅客数の急減で売り上げが落ち込んだ航空会社やサプライチェーン(供給網)が寸断された自動車関連企業など、幅広い業種の救済を想定する。出資する場合は議決権が制限される優先株を引き受ける方向だ。

 このほか、感染源である中国に依存した生産設備の国内回帰を後押しするため、大企業も含めて移転費用の半分以上を国が補助する。

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