高論卓説

需要喚起必死、反動買い一部…「峠越した」中国消費は回復したのか (1/2ページ)

 前回寄稿したときから2カ月近くが経過しているが、世界はいまだ新型コロナウイルスの脅威から脱していない。先にこのウイルスとの戦いを開始した中国でも、現時点でまだ予断を許さない状況にあり、世界が完全に回復するまでには時間がかかりそうだ。とはいえ、世界に先んじて「峠を越した」感がある中国では、少しずつ社会の再建が進んでいる。(森下智史)

 その中で多くの企業の目が向いているのは中国の消費の回復状況であり、そうした観点で注目されたのが3月8日の「婦人節(国際婦人デー)」であった。この日は中国では女性が半日お休みになる日であり、EC(電子商取引)時代以前から百貨店を中心に女性向けキャンペーンが展開される日であった。

 近年はアリババ系列のECサイトが「女王節」、またそのライバルである京東は「女神節」や「胡蝶節」と題してECで女性向けキャンペーンを展開し、中国における主要小売りキャンペーンの一角をなしてきた。

 そんな女性向け消費の盛り上がりを伝える3月8日であるが、今年は新型コロナ情勢下における最初の商戦とあって、消費の回復具合を見る意味でも注目されていた。

 その結果だが、アリババ系列のECサイト天猫の公式発表では「全体の売り上げは2019年超え。2万を超えるブランドで売上額が昨年の100%以上の増加」と報じている。「Taobao Live」による売り上げ貢献は昨年を大きく上回った。このライブから生まれた売り上げは19年比で264%の伸びを見せた。

 中国の靴ブランド「紅蜻蛉」は、この「女王節」期間中に100ものライブチャンネルを開設、ライブ本数も400回を数えた。その結果、43万5300人が閲覧し、獲得した「いいね」は300万以上となったが、中でも同社のトップによるライブ販売は、売り上げ114%増と高い効果を上げたことが伝えられている。

 また、最近注目されている中国のメーキャップブランド「完美日記(Perfect Diary)」では、人気のアニマルアイシャドーの在庫40万個が1日で完売したことや、「エスティーローダー」の天猫旗艦店(EC店舗)の売り上げが商戦予約期の段階で1億元を突破したこと、「shu uemura」が同様に新商品のファンデーション3万5000個を売り切ったことなど、各社の好調ぶりが報じられている。

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