スポーツi.

米プロフィールドに「スポーツの灯」は戻るか (2/2ページ)

 選手の寄付活発化

 Jリーグの村井満チェアマンは4月20日に首相官邸を訪問し、全国にあるJリーグクラブハウスを、新型コロナへの感染の有無を調べるPCR検査の会場として活用するよう提案した。このような動きは既に海外の多くのプロスポーツチームでは実施され、地域密着を掲げるプロスポーツチームの機能を果たしている。

 MLBの日本人選手やNPB(日本野球機構)所属選手らの寄付活動も活発化する。一方、多額の税金を投入して完成した東京五輪の施設は何も活用されていない。「ステイホーム」の明かりとは対照的に選手村は真っ暗のまま多くのベッドが眠っている。3月30日に東京五輪の延期が発表されたが、その議論の席にJOC(日本オリンピック委員会)会長の姿はなかったという。

 相変わらずの政治主導はモスクワ五輪時と同じで、さらにコマーシャリズムが肥大化する。フェニックス市内にある日本庭園の担当者は祭り法被と東京2020Tシャツで開催を盛り上げる。沖縄の病院で出会った看護師は既にチケットを購入し「こんな機会じゃないと上京できない」と心待ちにした。五輪はアスリートファーストだけの問題でない。来年の夏、五輪の機能が東京で発揮されることを願う。

【プロフィル】川上祐司

 かわかみ・ゆうじ 日体大卒。筑波大大学院修士課程スポーツシステム・健康マネジメント専攻修了。元アメリカンフットボール選手でオンワード時代に日本選手権(ライスボウル)優勝。富士通、筑波大大学院非常勤講師などを経て、2015年から帝京大経済学部でスポーツマネジメントに関する教鞭を執っている。著書に『アメリカのスポーツ現場に学ぶマーケティング戦略-ファン・チーム・行政が生み出すスポーツ文化とビジネス』(晃洋書房)など。54歳。大阪府出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus