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「あつまれ どうぶつの森」快進撃でも喜び半分 ゲーム業界の不安 (2/2ページ)

 モバイルゲーム分野も、外出自粛で存在感を増す。ゲームエイジ総研によると、モバイルゲーム全体におけるユーザー約135万人の動向調査の結果、2月は平日平均5098万時間、土日祝日平均5920万時間だった総プレー時間が、学校の休校や企業のリモートワーク化がはじまった3月には5335万時間、6152万時間と、いずれも4~5%増えた。

 業界への期待は大きく、2月末から4月末時点を比べると、任天堂やカプコン、米国のエレクトリック・アーツや中国のテンセントといったゲーム関連企業は軒並み株価が上昇している。

 今後の開発、製造に不安あり

 一方で、任天堂の広報担当者は「巣ごもり需要は否定しないが、決して喜ばしいことではない」とする。同様の危機感を抱く企業は多い。「感染症に乗じてもうけている」とみられかねないことに加え、長期的には開発の遅れや、流通、製造ラインに不安があり、悪影響が心配されるからだ。

 集客イベントを開催できないのも痛手だ。ゲーム雑誌「ファミ通」グループの林克彦代表(46)は「これまで企業はゲーム単体の売り上げだけでなく、関連舞台やコンサート、ファンイベントを開いて集金する仕組みを作り、ビジネスを最大化してきた」と説明する。感染拡大防止のため、中止になったイベントは少なくない。

 しかし、コンサートや舞台を無観客で実施、その様子を有料配信したアクションRPG「NieR(ニーア)」シリーズのような動きも出てきている。林代表は「それぞれが模索を続けており、今後のゲーム業界に新しいビジネスが生まれる可能性もある」と動向を注視する。

     

 ゆるやかに、浮世を忘れる「どうぶつの森」

 「どうぶつの森」シリーズには、差し迫ったストーリーや目標がない。平林氏は「第1作発売当初、決して主流派のゲームではなかった」と評する。勝敗や敵が存在するゲームが主流のなかで、家庭内のゆるやかなコミュニケーションを楽しむ作品として生まれた。優しい仮想現実の世界で自由に生活を営むことは、殺伐とした現実に疲れた人々の心を癒やした。

 「現在の世界マーケットは暴力的なゲームが主流で、当時の日本市場と似通っている」と指摘する。また「コロナウイルス禍のつらい現実を忘れたい人々の心をつかんだことが、世界的なヒットにつながった」と分析する。

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