高論卓説

コロナ禍がもたらした大気汚染の改善 クリーン自動車普及の契機に (1/2ページ)

 新型コロナウイルスによる自粛で世界中の人が家に閉じ籠もった結果、インドから中国、そしてローマまで地球の大気汚染が大幅に改善されたそうだ。みんなが車で外出しなかった結果だ。自動車が誕生して100年余り、自動車は成長を続け、今では13億台以上の車が世界中で人や荷物をのせて走っている。(平松庚三)

 排ガスをまき散らし、環境を破壊し、そして地球温暖化現象を生んだ。その人類の最大の悩みの一つがいとも簡単に3週間で解決されたのだ。

 大気汚染で悪名高きはインドだ。世界保健機関(WHO)によれば、世界の大気汚染都市ワースト30のうち21がインドだという。経済急伸中のインドは車の数も急伸中で、しかも大半が日本や中国から輸入された中古車が占める。

 インドの自動車数は5000万台で、日本の7800万台よりはるかに少ない。が、インド国内には三輪タクシーのオートリクシャーをはじめ、旧式ディーゼルエンジンを積んだバスやトラックが街中にあふれ、慢性的な大渋滞に陥っている。

 自動車の排ガスによる大気汚染は、急激な経済成長の副産物でもあり、かつて日本も同じ道を歩んだ。そのインドが新型コロナと闘うため、前例のない大胆なロックダウン(都市封鎖)を断行した。その結果、何年もよどんでいた空気があっという間に浄化された。ニューデリーでは3週間で微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が前年比60%まで低下した。インド北部からはヒマラヤ山脈が望めたという。インドだけではない、この間、ロサンゼルスでも、ロンドンでも、ミラノでも世界中が同時に極めて低いPM2.5を記録した。

 一方、先進国サイド、特に日本では、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、クリーンディーゼルなどクリーンエネルギー自動車(CEV)の普及に拍車がかかっており大気汚染は大幅に改善されている。

 2018年では国内のCEV販売は全体の37.8%に達した。今回の世界同時自粛中に13億台の車のうち何台が3週間使われなかったかは明らかでないが、何割かの車の使用を控えれば、結果として、エベレストが見えるまで地球の大気汚染が改善されるということが証明された。

 では、このまま地球の大気を今回のレベルに保つにはどうすればよいのか。まさか、今後も車に乗るのを控えてくださいとも言えないし、全体の車の数を減らすわけにもいかない。唯一の案はインドでも早急にCEVを普及させることなのだが、今は現実的でない。

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