金融

22年末までゼロ金利 FRB、雇用回復へ量的緩和ペースも維持

 米連邦準備制度理事会(FRB)は10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0~0.25%に据え置くことを決めるとともに、証券買い入れを通した量的金融緩和を現在以上のペースで維持し、2022年末までゼロ金利政策を継続する方針を示した。新型コロナウイルスで痛手を負った米国内の雇用が回復するまで景気刺激策を継続する決意を鮮明にした。

 あらゆる手段用いる

 パウエルFRB議長は同日、テレビ会議システムを通じた記者会見で、新型コロナ感染拡大からの景気回復を支援するため、金融当局としてあらゆる手段を用いると表明。「利上げについて考えることすら考えていない」「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることに強くコミットしている」などと語った。

 FOMCの声明によると、家計や企業への資金の流れを支えるため、今後数カ月にわたって、米国債の保有を現在以上のペースで増やすとしている。

 金融緩和策が資産バブルをあおるリスクについて問われたパウエル議長は、当局が完全雇用と物価安定の回復に集中していると強調。「資産価格を特定の方向に動かすことには全く重点を置いていない」として、リスクに否定的な考えを示した。

 昨年12月以来の公表となった経済予測では、21年末までFF金利がゼロ付近で維持されると全ての当局者が予想。また2人を除き全員が22年末までゼロ付近で据え置かれるとの見通しを示した。経済予測は通常四半期ごとだが、3月は新型コロナの影響で公表が見送られていた。

 声明では米経済について「中期的に重大なリスクに直面している」と、前回4月会合での声明の文言を繰り返した。

 経済予測によれば、10~12月期の失業率は中央値で9.3%への低下を予想(5月実績は13.3%)。21年は6.5%に下がるとみている。国内総生産(GDP)については今年が6.5%減、来年は5%増に回復すると見込む。インフレ率は22年いっぱいは当局目標の2%を下回って推移する見通し。

 パウエル議長は市場予想よりも良好だった5月の雇用統計について、労働市場が底を付けたことを意味する可能性はあるとしながらも多くの人の予想が外れ驚きが広がったという事実は「現状がいかに不透明かを明確に示している」と指摘。「数百万という極めて多くの人々が前の職場に戻れないと私は想定しており、元の業界で職がない状況がしばらく続く可能性がある」と語り、雇用回復には時間がかかるとの見通しを示した。

 金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」についてはFOMCがブリーフィングを受けたことを明らかにした上で、採用の是非に関する議論は今後の会合で継続されると述べた。

 “大恐慌の轍”踏まず

 議長は明確な形でのフォワードガイダンスを含むような政策戦略を打ち出す前に、景気回復の状況が一層明らかになるのを待っていると付け加えた。

 アマースト・ピアポイント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は1930年代の大恐慌に言及し、「米金融当局は、行動を起こさなかったことで大恐慌が悪化した事実に明らかに非常に敏感になっており、その間違いを繰り返したくない思いだ。少なくとも今のところ当局は、見渡せる限りは緩和姿勢を取ると誰もに信じてもらいたいのだろう」と分析した。(ブルームバーグ Craig Torres)

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