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英サッカーでM&Aが加速 EU離脱受け移籍制限、若手有望株を青田買い (1/2ページ)

 英国の欧州連合(EU)離脱に伴い同国サッカークラブによるベルギーやフランスのクラブ買収の動きが加速している。大陸への出資で地歩を固め、離脱後もEU域内の若手有望選手を青田買いする狙いだ。

 “時代遅れ”の抜け穴

 英国がEU加盟国なら国際サッカー連盟(FIFA)の規定により、同国のクラブは16歳以上のEU域内選手に契約をオファーできる。巨額の移籍金を支払わずに早い段階で将来のスター候補を獲得できるこの規定のおかげで、アーセナルはFCバルセロナからセスク・ファブレガス、ヘクター・ベレリン(エクトル・ベジェリン)両選手を獲得できた。マンチェスター・ユナイテッドもポール・ポグバ選手をフランスのル・アーブルから引き抜いた。

 だが来年1月以降はEU離脱に伴う移行期間の延長はなく、英国のクラブがEU域内選手と移籍契約が可能な年齢は18歳に引き上げられる。その頃までにはライバルの他国クラブが有力選手を確保しているだろう。

 第2のクリスティアーノ・ロナウドになるかもしれない若手有望選手を獲得するために英国のクラブがこの規定の抜け穴として目を付けたのが、一見、時代遅れにも見える手法、つまり(EU域内クラブの)「買収」だ。

 イングランド・チャンピオンシップ(2部)のバーンズリーFCを経営するメディア関連企業パシフィック・メディア・グループ(PMG)の共同創業者、ポール・コンウェイン氏は取材に対し、フランスの下部チーム買収に向けた協議を行っていることを明らかにした。PMGは5月下旬にベルギーのプロサッカークラブ、KVオーステンデの過半数株式の取得を完了したばかりだ。

 コンウェイ氏は5月の電話取材で、「英国のEU離脱でベルギーとフランスのクラブに対するM&A(企業の合併・買収)は加速する一方だ。従来、多くの将来有望な若手選手を数多く発掘してきた欧州大陸における存在感(プレゼンス)を英国のクラブは望んでいる」と語った。

 「プレミアリーグの成功の一因は世界の才能を引き付ける能力による」と英リバプール大学でフットボール金融の講師を務めるキーラン・マクワイア氏が指摘するように、英国のクラブは数十年来、大陸出身のスター選手を引き抜いてきた。イングランド・プレミアリーグによると、プレミアでプレーする選手の約5分の1は、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペインと大陸出身だ。

 ルイス・シルキン法律事務所の入国業務部門責任者、アンドリュー・オズボーン氏は「英国のクラブがEU域内クラブと下部組織の関係を結んでいれば、域内選手を16歳で獲得できる。下部組織は英国のクラブのために選手と契約し、育成する。英国のクラブには恐らく、優先的に、選手と契約する権利がある」と説明する。

 そうした取引例は枚挙にいとまがない。プレミアリーグ優勝のマンチェスター・シティを保有するシティ・フットボール・グループ(CFG)は5月にベルギーのロンメルSK取得で合意。CFGは買収理由に人材開発を挙げた。

 レスター・シティ、シェフィールド・ユナイテッドの保有会社もここ数年、ベルギーのチームを買収している。PMGのコンウェイ氏の話では、長い目でみれば取得コストには経済的な意味があるという。同氏は「クラブの中には選手1人分に相当する価値のところもある」と明かす。

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