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航空業界の損失世界で9兆円 国際航空運送協会の見通し、金融危機時を超える

 新型コロナウイルス感染症の拡大は世界の航空業界に大きな爪痕を残しているようだ。巨額の固定費負担が重くのしかかるうえに、運航停止が続くことで旅客収入が激減し、航空各社は未曽有の経営危機に直面している。

 政府介入が不可欠

 国際航空運送協会(IATA)は9日、新型コロナ危機の発生後初めての業界見通しを発表した。2020年は航空会社の損失が過去最大の840億ドル(約9兆円)規模に膨らみ、21年も約160億ドルの赤字が残るとの見通しを示した。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が落ち着き始め、航空各社が徐々に運航再開に努める中での業界見通しは厳しい内容だった。

 IATAによれば、金融危機で08~09年に世界経済がリセッション(景気後退)に陥った際の航空業界の損失は310億ドルだった。コロナ禍で当時の3倍以上に損失が膨らむと予測している。

 IATAのジュニアック事務総長は記者団との電話会見で「今年の損失は航空市場最大となりそうだ。今回の危機は比類なき規模だ」と語った。

 航空各社の損失は地域により、収入の15~30%に達するもようだ。新型コロナの第2波が来ないと仮定しても、早くても22年までは収益性が戻る見込みはない。

 IATAは航空業界が今回の危機を切り抜けるうえで多額の債務を抱えてしまったとみている。航空業界の債務は約1200億ドル増加しており、IATAは債務の株式化への政府介入がなければ多くの航空会社が存続できない水準だと指摘。また国有化が増加する以外は、大量破産につながると強調している。

 債務は利益の16倍

 IATAの予測では、航空各社の債務は年末には総額約5500億ドルに達する見通しだ。つまり、航空部門の借り入れ水準は来年、EBITDAR(営業利益+減価償却費+航空機材賃貸料)ベースの利益の16倍と、19年の4.6倍から大幅増加が見込まれる。

 一部の航空会社は自力で新たに資本を調達することで対応できるかもしれないが、航空会社が過剰債務を抱えた状態は、多くの国や地域による株式取得につながる公算が大きいとIATAは指摘している。これまでに提供された1230億ドル規模のさまざまな形の支援策のうち、直接投資の形をとるのは110億ドルしかない。

 IATAはまた、出入国規制などから世界との接続性が低下し、運航再開後も年末までに2都市間で就航する路線数が約25%減少するとの見通しを示した。航空各社が旅客回復のために運賃を値下げするなか、運賃の目安になるイールド(実収単価。有償貨物1トンに対する1キロ当たり収入)はおよそ2割低下する可能性が高い。(ブルームバーグ Christopher Jasper)

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