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EV背水の決戦アクセル 後退許されぬ巨額投資、コロナ禍に事業強化 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大で自動車業界全体に逆風が吹く中、開発に多額の投資を必要とする電気自動車(EV)がとりわけ強い打撃を受ける見通しだ。一方、EVを主軸とした戦略を打ち出したドイツのフォルクスワーゲン(VW)などは退路を断たれ、事業強化に向けたアクセルを一層強く踏み込んでいる。

 高コスト最大ネック

 2020年はVWなどによる多額のEV投資が実を結ぶ重要な年になるはずだった。だが、新型コロナが自動車各社の野心的な計画を脅かしている。コロナ危機により生産停止を余儀なくされ、ショールームへの客足が途絶えるなど経営破綻寸前にまで追い込まれた。

 世界的な景気後退で個人消費が減速する中、特にEVはそのコストの高さが最大のネックとなっている。特に2月以降、約4000万人以上が失業保険を申請している米国では、高価なEVは多くの庶民の手に届かないのが現状だ。さらに、原油価格急落でガソリン価格が低下し、ガソリンエンジン車の魅力が高まりつつある。

 世界最大のEV市場である中国の雲行きも怪しい。昨年の同国の自動車販売は2年連続で前年実績を下回った。今年は中国当局が「不確実性」を理由に国内総生産(GDP)の成長率を示さず、3年連続のマイナスになるとの公算が大きい。こうした状況から、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は今年通年のEVの販売が前年比14%減の93万2000台に減少すると見通す。

 一部の国で新技術促進に向けた補助金提供に余裕がなくなっていることも逆風となる。中国は新エネルギー車補助金を22年まで延長するものの、米国はもともとEVに対する補助金が手薄で中国と同水準の支援は期待できない。米国人が1ガロン(約3.8リットル)=2ドル未満でガソリンを買えるようになった今、同国のEV需要はさらに減少する見通しだ。

 ただ、数年間にわたり次世代技術に巨額の投資をしてきた各社にとって、もはや後戻りする選択肢はない。VWのe-モビリティ担当取締役のトーマス・ウルブリッヒ氏は4月、新型EV「iD3」を生産するドイツ・ツヴィッカウ工場の再開に当たり、「私たち全員が達成すべき歴史的に重要な任務を抱えている。従業員の健康を守ると同時に、責任をもって事業を軌道に戻す」と強調した。

 排ガス規制が追い風

 VWはここにきて電動化戦略を加速する方針を強調している。5月に中国でEVを製造する合弁相手、安徽江淮汽車集団控股の株式50%を取得することで基本合意したほか、米フォード・モーターとの協力をEVと自動運転車の分野に拡大する計画を承認した。

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