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サプライチェーン再構築の道遠く 中国への依存度軽減、企業には非現実的 (1/2ページ)

 米中貿易戦争の勃発により、戦略物資の中国への依存度軽減を求める声が米国などで高まった。加えて、新型コロナウイルスの感染が広がる現在、政治家はその行動を公言している。しかし、これを実行に移すのは容易でないようだ。

 コロナ禍で二の次

 トランプ米政権はサプライチェーン(供給網)を中国から国内に移すとしており、戦略物資の生産を支援できるアジア友好国のグループが必要だとの考えも表明している。トランプ大統領は先月、中国と断交した場合に米国は「5000億ドル(約53兆4400億円)を節約できるだろう」とも述べた。

 しかし、アジア太平洋地域の複数の政府当局者やアナリストとのインタビューによれば、サプライチェーンの再構築に向けて幅広く取り組むのは今のところ、現実的に難しい。米国内に最先端半導体工場を開設する台湾積体電路製造(TSMC)の計画など、各国・地域の政府は投資を呼び込もうとしている。ただ、コロナ禍のさなかで多くの企業が生き残りに必死になっている現在、確立されたサプライチェーンを解体するのは容易ではない。

 シンガポールのシンクタンク、アジア貿易センターのデボラ・エルムズ氏は、「実際に事を起こそうとすると、多くの企業は非常に合理的な理由に基づき現在のようなサプライチェーンの形を構築している現実に直面する。コロナ禍を経て手元資金は乏しくなり、従業員は在宅勤務をしているか、あるいはオフィス勤務の再開に時間がかかっている経営環境下で、サプライチェーンの移転は一段と難しくなろう」と説明した。

 フィッチソリューションズのアジアカントリーリスク責任者、アンウィタ・バス氏は、「多くの企業は2018年に米中貿易戦争が始まって以降、既に製造拠点を『中国プラスワン』とする戦略を採用し始めている。今回のパンデミック(世界的大流行)がもう一押しするだろう」としながらも、「中国からの生産移管はゆっくりしたペースになる。中国の年間生産量は非常に大きく、複数の国・地域のグループをもってしても、その一部を取り込むのに苦労するほどだからだ」と指摘する。

 それでも特にコロナ禍によるサプライチェーンの途絶以降、各国・地域の政府は中国からの生産移管に向けて独自に動いている。早い段階から中国で生産能力拡大へ巨額を投資してきた台湾や日本も例外ではない。

 台湾の高官らは19年、域内企業による中国国外でのサプライチェーン構築を推奨し、台湾域内への投資に対する家賃援助や安い資金調達、税の優遇措置、投資に対する手続きの簡素化を保証する法律を可決した。こうした取り組みは域内経済が昨年、米中貿易戦争を乗り切る助けになったほか、国内外への投資につながり、約束または実施した額は1兆台湾ドル(約3兆6000億円)以上に上った。

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