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米ホテル・飲食店に廃業の波 議会は給与保証の返済免除要件緩和で対応

 新型コロナウイルスによる経済悪化にあえぐ米国で、一流レストランやホテルが相次いで営業再開を断念している。多くの経営者が支援を強く望んでいるにもかかわらず、米政府の中小企業支援策「給与保証プログラム(PPP)」の融資申請要件が利用を阻んでいることが大きな要因だ。

 「雇えば利益わずか」

 ワシントンの米国議会議事堂周辺のキャピトル・ヒル地区で20年にわたって連邦議員やロビイストに愛されたビストロ、「モンマルトル」が3月に閉店した。全米で有名レストランが次々と閉店に追い込まれる中、経営者のクリストファー・レイナル氏もモンマルトルと姉妹店のセブンスヒル・ピッツァを店じまいすることを決断した。PPPの申請も検討したが、感染防止のため座席数を減らした上でスタッフを雇えばわずかな利益しか得られず、破綻への道を進むことになると判明。共同経営者のステファン・レズラ氏と話し合い、「損失は想定以上に膨らむ可能性が高く、営業再開のためにできることは何も残っていない」との結論に達したという。

 モンマルトル以外にも、カクテルブームに火を付けたニューヨークのカクテルバー「ペグ・クラブ」や、ミシュランの星を獲得したシェフ、ジョン・フレイザー氏が手掛けたレストラン「701ウエスト」などの一流レストランが、悪化する米国経済の犠牲となった。701ウエストが入るタイムズスクエア・エディション・ホテルも8月に閉店予定だ。

 飲食店経営者やロビー団体は「飲食店の営業再開に際し必要となる支出は、従業員に支払う給与だけではない。店内の座席数も制限される上、ソーシャルディスタンス(社会的距離)のための措置費用もかかる。PPPはこうした資金不足に直面する飲食店の真のニーズに応えていない。経営を持続させるためにはさらに数千億ドルが必要だ」と不満を募らせる。

 融資認可73%どまり

 米国のホテルや飲食店の中には、営業再開が難航する中で、人種差別に対する抗議デモで夜間外出禁止令が出された影響や物的損害を被ったものもある。国勢調査局のまとめでは新型コロナで大きな被害を受けたと回答した飲食・サービス関連の企業が約80%近くに上り、調査を実施した全産業中の業種として、最大の割合を占めた。

 PPPにはこうしたホテルや飲食店に向けた特別枠も存在する。だが、それにもかかわらず、ブルームバーグが行った米中小企業庁と国勢調査局のデータ分析によると、PPP融資の対象となる従業員給与のうち融資を認められたものは、小売業では99%、建設業では94%だったのに対し、ホテル・飲食店では73%にとどまった。

 PPP融資は一定の要件で返済が免除されるが、米議会は6月5日、この要件の緩和を可決。返済免除を受けるためには8週間以内に融資の75%以上を給与関連に使用する必要があったが、24週間以内もしくは2020年12月31日までのいずれか早い方までに60%を給与として支払えばよくなった。さらに土壇場のロビー活動で各店舗従業員数が500人以下のフランチャイズ店にも特別枠が用意された。

 飲食店に対する支援策はその他にも浮上しているものの、いずれも押し寄せる閉店の波を押しとどめるには不十分だ。全米商工会議所は「ホテル・飲食店などを支援するためのPPPや税制の改定は協議に7月までかかる可能性もある」といらだちをあらわにした。(ブルームバーグ Ben Brody、Kate Krader)

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