話題・その他

キャッシュレス決済ポイント還元終了 中小店舗に反動減や手数料負担懸念の声も

 昨年10月の消費税増税に合わせて始まった、キャッシュレス決済時の政府のポイント還元制度が30日で終了した。消費者の利便性向上や家計の支援につながった一方で、大手小売り事業者が独自のキャンペーンなどで追随し、制度の対象となった中小事業者との値下げ競争も発生。中小事業者からは制度終了後の需要の反動減や決済手数料の負担増を懸念する声も上がる。

 「もっと続けてほしかった」

 キャッシュレス決済の5%還元が6月末で終了することについて、東京都内に2店舗を展開する「ベニースーパー」の赤津友弥本部長は残念がる。

 キャッシュレス決済の割合は制度開始前の倍以上になり「財布の中身を気にしなくなったためか客単価が上がり、これまで大手スーパーなどで買っていたたばこを買ってくれる顧客も増えた」と明かす。

 大阪市内を中心に10店舗を展開するたこ焼き店「甲賀流」でも、キャッシュレス決済が売り上げの約15%を占める。訪日外国人客(インバウンド)の需要を見越して導入。新型コロナ禍でインバウンド需要はほぼ消失したが、現在も若者を中心に利用が増えているという。田中由弘社長は「幅広い年代にキャッシュレス決済が浸透している印象。顧客へのサービスと考えてポイント還元終了後も続ける」と話す。

 経済産業省によると、制度には最終的に全国約115万店が参加し、4月中旬までの決済額は約8・5兆円、還元額は約3530億円に上った。同省が5月に実施したアンケートでは、キャッシュレス決済を利用している消費者の約8割が使い続けたいと回答した。

 ただ、店側は還元制度の終了後、決済事業者に支払う手数料負担の増加を懸念している。政府は、還元制度の期間中、手数料を下げるよう要請したほか、店側に補助も行った。制度終了でこれらの措置はなくなるため、キャッシュレス決済をやめる店舗もありそうだ。ベニースーパーは手数料の高い決済手段はやめる方針。「利益率を考えると続けることが難しい」という。

 需要の反動減を懸念する声も。大阪市内を中心に43店舗を展開する「スーパー玉出」では、一般の買い物客に加え、飲食店関係者の仕入れとみられる購入での利用が目立った。運営会社の國枝尚隆経営企画部長は「飲食店にとって、仕入れでの5%還元は大きかったのでは。制度が終了すれば、そうした利用が減るのではないか」と話す。

 東京都や神奈川県などにスーパーマーケットフジを展開する富士シティオの菊池淳司会長は「大手スーパーも対策を取ったので、競争という面であまり優位にはならなかった」と振り返る。

 りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「ポイント還元制度は消費者にとってメリットが大きかった」と評価する一方、「中小・小規模事業者を支援するはずが、一部で大手も巻き込んだ値下げ競争や決済手数料の負担を生み、制度の趣旨から外れた側面もあった」と話す。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus