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ほの国百貨店/東京ミネルヴァ法律事務所

 ■前代未聞の弁護士会破産申し立て

 ▼ほの国百貨店 ほの国百貨店は6月1日、名古屋地裁豊橋支部へ特別清算を申請した。

 同社は老舗百貨店の丸栄(名古屋市中区)の子会社で、1971年8月に設立された丸栄豊橋が前身。消費低迷や流通の多様化などで経営不振に陥り、親会社が複数回にわたり交代。2012年3月、現商号で再スタートした。

 しかし天候不順による衣料品の販売不振、インターネット通販や郊外型ショッピングモールの台頭などで業績改善は進まず、19年2月期売上高は約50億1800万円にとどまり、3期連続の赤字で債務超過に転落した。

 百貨店の建物老朽化も重なったため19年11月、20年3月に閉店することを発表。閉店の発表後は来店客が増加し、20年2月期の売上高は約54億7300万円と増収に転じた。だが、利益は改善せず赤字は続き、20年3月15日に百貨店を閉店。5月25日開催の株主総会の決議で解散し、今回の措置となった。

 ▼東京ミネルヴァ法律事務所 弁護士法人の東京ミネルヴァ法律事務所は6月24日、第一東京弁護士会から東京地裁へ破産を申し立てられ、同地裁から破産開始の決定を受けた。債務整理のほか、過払金返還請求、B型肝炎関連などを手掛けていた弁護士事務所。複数の弁護士が所属し、特に過払金返還請求やB型肝炎給付金請求訴訟に関しては積極的に広告を展開して知名度を上げていたほか、借金問題の出張無料相談会を開催することで実績を重ねていた。

 急激に規模を拡大していたが、事務所への連絡が取りづらいなどの相談が弁護士会に寄せられる中、2020年6月10日、総社員の同意により解散し、事業を停止していた。

 過払い金の保管や預かり金の返還に問題が生じ、会費も未納だったため第一東京弁護士会が破産を申し立て、今回の措置となった。

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【会社概要】ほの国百貨店

 ▽本社=愛知県豊橋市

 ▽設立=2010年8月

 ▽資本金=2000万円

 ▽負債額=19億3771万円(20年2月期決算時点)

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【会社概要】東京ミネルヴァ法律事務所

 ▽所在地=東京都港区

 ▽設立=2012年4月

 ▽負債額=約52億円(19年3月期決算時点)

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 〈チェックポイント〉

 ほの国百貨店は東三河地区唯一の百貨店として親しまれてきたが、採算がとれない経営が続いた。店舗は3月に閉店、会社解散を決めた後に法的整理に移行した。突然事業をストップする破綻とは異なり、混乱は少ない。ただ、従来の収益モデルが通用せず、苦境にあえぐ地場百貨店を端的に示す事例となった。

 東京ミネルヴァ法律事務所は弁護士会が破産を申し立てるという前代未聞の事態に発展した。派手な宣伝広告で過払金返還訴訟などを積極的に手掛け、異端の法律事務所として知られた。解散に至るまでの経緯や経営実態については不可解な点も多い。今後の破産手続きの中での調査に注目が集まっている。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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