リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

明治安田生命保険(2-1)顧客に生涯寄り添う 10年後描く (2/2ページ)

 コロナ見据え「健活」

 --2大プロジェクトのコロナ禍対応は

 「『みんなの健活プロジェクト』は顧客、地域社会、従業員の健康増進、病気の早期発見と予防を目的に19年4月にスタート。新たな取り組みとして全国の道の駅(1173拠点)で健康増進をテーマとした活動を支援する『道の駅健活プロジェクト』を、全国道の駅連絡会と共同で推進する。今年7月からコロナ禍を踏まえ、道の駅関係者・団体にマスクや消毒液を寄付。感染症収束後は各駅独自の健康増進イベント計画を公募し、選定したイベントへの特別協賛を行う」

 --2つ目のプロジェクトは

 「20年度から『地元の元気プロジェクト』を推進。キーワードは健康であり、人生を豊かにする活動に取り組む。日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と協働で『とことん!地元応援キャンペーン with J』を展開し、健康増進と地域の盛り上げに力を入れる。その一つが『おうちで健活』。Jリーグ選手やそのOBが出演し、自宅で実施可能なエクササイズ動画をオンライン配信する。『地元の元気つなげるサイト』もJリーグの協力を得て、地元の物産や観光などの魅力を伝える映像を制作する」

 --このプロジェクトの狙いは

 「地域課題の解決に向けた地域の取り組みへの参画を通じ、地域住民・社会に根差した企業・団体との接点強化が目的だ。地方自治体などとの協働による健康セミナーや地域住民が参加しやすいスポーツイベントといった開催などを通じ、豊かなまちづくりに貢献する。地元を元気にするには地元自治体が主体にならないと継続しない。われわれは自治体と住民をつなぐ潤滑油で、毎年コツコツと一段ずつ上がるほうがいい」

 「この一環として、20年5月からコロナ禍を踏まえた地域社会の支援につながる寄付活動を開始した。その一つとして、総額5億円の『私の地元応援募金』を創設し、全従業員がゆかりのある地域の団体などに任意で行う募金に会社拠出の寄付を上乗せするマッチングギフトを始めた。募金先は全国の拠点が選ぶことになっており、東京(本社)から指示しない。トップダウンより現場の創意工夫が大切だ」

 生保協会長にも尽力

 --2回目の生命保険協会会長に就任した

 「清水博前会長(日本生命保険社長)が顧客本位の業務運営でコロナ危機と向き合われた。それを継承する。加えて、顧客の声をもっと聞く。コロナ禍対応の評価、不満の声を聞いて修正するのか継承するのかを基本に据える。また外貨建て一時払い保険や保険販売の窓口となる代理店問題も抱える。顧客本位の業務運営とはすなわち、顧客の声を聞くこと。仮説を立ててやってもダメで、顧客の側に行くことが重要であり、今後の業界発展の準備に生かす」

【プロフィル】根岸秋男

 ねぎし・あきお 早稲田大理工学部卒。1981年明治生命保険(現明治安田生命保険)入社。2004年滋賀支社長、05年企画部長、09年執行役営業企画部長、12年常務執行役、13年取締役代表執行役社長、19年同グループCEO。61歳。埼玉県出身。

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