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東武SL「将来は福島まで」 日光乗り入れ、毎日運転へ

 東武鉄道は5日、観光列車「SL大樹」を10月から東武日光(栃木県日光市)へ乗り入れると発表した。また、真岡鉄道で走っていた蒸気機関車(SL)を譲り受けて2両体制となったことから、来年夏をめどに「大樹」の毎日運行を始める。“いつ訪れても走っているSL”の実現は、新型コロナウイルス禍で落ち込んでいる日光・鬼怒川エリアへの観光客を呼び戻す上で強い武器となりそうだ。

 大樹は、下今市-鬼怒川温泉間(いずれも日光市)で週末・祝日を中心に運行している。10月からは下今市-東武日光間でも「SL大樹『ふたら』」として月1回程度走る。乗り入れは地元観光業界がかねて東武に要望していた。

 愛称「ふたら」は日光の霊峰・男体山の別称「二荒山」から。ヘッドマークに男体山とそのシンボルである「大剣」を描き、日光観光大使を務める書道家の涼風花さんが筆を振るった。日光側にSLを連結し、下今市への復路はディーゼル機関車が牽引する。

 東武日光駅で5日開かれた発表会には、テレビCMに出演する女優の門脇麦さんが登場。「心が疲れがちな今こそ、自然豊かな日光・鬼怒川でのんびりパワーをチャージして」とアピールした。

 東武にとって日光・鬼怒川エリアは首都圏から観光客を運ぶ“ドル箱”の観光地。総工費650億円をかけた東京スカイツリーの8年前の完成以降、同エリアの魅力アップに向けた投資を矢継ぎ早に行ってきた。

 名門「金谷ホテル」の子会社化や、東武ワールドスクウェア駅の新設、米マリオット・インターナショナルに施設運営を委託した高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン・日光」の開業など。SL大樹の運行もその一環だ。

 同社は日光乗り入れを機にプロモーションを強化し、SL大樹のブランド化を目指す。

 鉄道事業本部長を務める吉野利哉常務執行役員は「ゆくゆくは鬼怒川の先へ、野岩鉄道と会津鉄道を経由して福島県へとSLを走らせたい」との構想を明かした。機関士の養成や、SL運行に必要な設備投資など課題は少なくないが、「東北復興の支援にもつながる。両社と話をしていきたい」という。(山沢義徳)

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