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「粗悪な」韓国車が存在感示すインド スズキの奮闘に見る日本人成功の鍵 (1/3ページ)

 人口13億5000万人の巨大市場インドで、日本企業は存在感が薄い。なぜなのか。著述家のグルチャラン氏は「日本人は日本人がいるところにしか進出しない。つまり冒険心がない。日本人ビジネスマンの商人魂はひ弱だ」という。《※本稿は、グルチャラン・ダス、野地秩嘉『日本人とインド人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。》

 日本企業の存在感が薄れ、韓国企業が注目を集める

 インドにはスズキをはじめとして日本企業が多く進出してきています。しかし、明確に述べますが、スズキ、トヨタなどごく一部の日本企業をのぞけば、インドでは日本企業の存在感はありません。

 パナソニック、ソニーについて聞いたことはあるけれど、両社の家電製品を持っているインド人はほぼいません。金融、ITといった企業についてはまったく知らないといっていいでしょう。ITの仕事をしているビジネスマンの間では、ソフトバンクは知られています。しかし、その他の日本企業のことは知りません。

 インドで知られているのはアメリカ、イギリス企業。次いで、韓国企業と中国企業でしょうか。家電製品のうち、冷蔵庫、洗濯機などは韓国製もしくは中国製です。スマホはサムスン、シャオミ、ノキアです。韓国の企業についていえばサムスンのイメージは非常にいい。

 しかし、ヒュンダイの車は安物、壊れやすいといったイメージを持っています。それでも、まだ韓国企業の方が日本企業よりも、一般のインド人には存在感があるのではないでしょうか。日本企業はインドの一般的な庶民にとっては知らないでもいい存在になりつつあるのです。

 「日本人は日本人がいるところに進出する」という悪癖

 私は不思議に思います。バンコクへ行くと、日本企業の看板、日本食の店がいくつもある。ミャンマーにも増えつつあります。シンガポールにもある。しかし、マレーシア、インドネシアといったイスラムの国へ行くと、日本企業の知名度はタイほど高くありません。

 日本企業のすべてが東南アジアや世界で存在感を示しているわけではありません。日本企業のうち、トヨタ、日産、ホンダといった自動車会社だけが、かろうじて存在感を放っているのです。

 そして、日本企業は存在感を示しているその自動車会社が進出している東南アジア諸国を目指している。しかし、東南アジアのマーケット規模はインドほどではありません。たとえば……。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国はブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10カ国。合わせて人口は6億5000万人。それなのになぜ、自動車会社以外の日本企業はタイ、ベトナム、ミャンマーへ進出するのでしょうか。

 日本人ビジネスマンには「冒険心」がない

 答えは簡単です。日本人は日本人がいるところに進出する。日本のビジネスマンには冒険心がないからです。冷静にマーケットリサーチをしたら、各国がそれぞれの言葉や文化を持つ6億5000万人のマーケットよりも、多様性があるとはいえ、約13億人のインドマーケットへ進出するのが当然の帰結ではないでしょうか。

 日本人は楽なところが好きなのです。タイのバンコクならば赴任してもいいけれど、インドのコルカタへ行くことは嫌なのです。理由は「そこには日本人がいないから」、もしくは「私が好きな種類の日本人がいないから」。

 私はそこに日本人ビジネスマンのひ弱な商人魂を見ます。

 インドのマルワリ商人だったら、たったひとりでマーケットを開拓するのが自分のやるべきことだとわかっています。他に同種の企業が進出しているところへ行こうなんて考えるマルワリ商人はいません。

 日本人ビジネスマンがさらに成長したいのなら、日本人のいない国へ行くことです。そこでマーケットのなかに入っていって、その国にないものを持ってきて売るのです。

 スズキの孤軍奮闘に見る成功の鍵

 スズキがインドの自動車市場の半分近くを占有しているのは、トヨタやフォルクスワーゲンが来ないうちにインドに進出してきたからではないでしょうか。

 インドには規制はなくなりつつあるとはいえ、進出企業に大きく市場が開かれているとはまだいえません。スズキが成功したのは当初、国営のマルチと合弁で会社を設立したからです。スズキのインドでの歩みは次のようになります。マルチ・スズキ・インディアは現在の名称です。インドでは乗用車を造り、販売しています。

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