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関西私鉄4社、旅客の4割が“蒸発” 新線効果など帳消しに

 関西の大手私鉄4社は12日、令和2年4~6月期の鉄道旅客数が前年同期と比べ、約4割“蒸発”したことを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた通勤・通学の自粛やインバウンド(訪日外国人客)の激減などが打撃を与えた。中には、新線開通の効果で利用客が増えていた鉄道もあったが、新型コロナが帳消しにした。

 また、同日出そろった4社の4~6月期連結決算は、全社が最終赤字を計上した。南海電気鉄道を除く3社が2四半期連続の最終赤字となった。

 4~6月期の旅客数は、近鉄グループホールディングス(HD)傘下の近畿日本鉄道が前年同期比37%減の9442万人。阪急阪神HD傘下の阪急電鉄が41%減の1億138万人、阪神電鉄が39%減の3928万人、京阪HD傘下の京阪電鉄が42%減の4441万人、南海電鉄が37%減の3931万人-だった。

 阪神電鉄の旅客数は、令和元年に開業10周年を迎えた阪神なんば線(尼崎-大阪難波)の効果などで増え続けていたが、新型コロナが帳消しにした。

 大阪府南部の人口減に苦しむ南海電鉄は、大阪市内と関西国際空港を結ぶ空港線の利用が急減し、4~6月期の最終損益が25億円の赤字(前年同期は66億円の黒字)に転落した。

 もっとも、足元では旅客数は持ち直しの動きもみえており、京阪HDは「7月は通勤需要が回復し、約3割の減少にとどまった」としている。

 また、鉄道以外の事業も苦しく、近鉄HDのホテルの平均稼働率は5月が最悪で、2・4%と低迷。京阪HDも「4~6月は大半のホテルで稼働率が一桁に落ち込んだ」としている。

 鉄道各社は私鉄4社以外も苦しく、4~6月期は、JR西日本、大阪メトロなどが最終赤字となっている。

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