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中韓に負かされても復活した日本の電機メーカー 日立製作所の明暗分けたのは (1/2ページ)

 【経済インサイド】

 2020年代に入り、変貌を続ける日本の大手総合電機メーカー。中国、韓国の競合メーカーとの激しい価格競争で打ちのめされてからも低迷するパナソニックや東芝、シャープに対し、日立製作所やソニーは復活を果たした。明暗を分けたのは技術の進化や社会の変化への対応力、改革スピードの差だ。

 熟練の動作を解析

 日立が注力するのは、IoT(モノのインターネット)基盤「ルマーダ」だ。日立はルマーダの画像解析技術を用い、熟練工の動きや工具の使い方のデータを収集、解析し、生産現場で活用している。

 たとえば、各社が省エネ性能を競う家庭用ルームエアコンの品質を左右する、冷媒が流れる銅管のろう付けという地味な作業。ろう付けが不十分だと冷媒漏れが起こり、冷却機能が低下してしまう。

 火炎バーナーを使う作業の善しあしは一瞬で決まる。母材に対するバーナーの距離や角度、高さなど複数の動作を最適に行うには高度な熟練技術が必要だ。この技術をいかに継承するか。世界最大の空調機器メーカー、ダイキン工業でもかつて課題となっていた。

 ろう付け作業者は、世界に約2000人いるが、マイスター(熟練技術者)はわずか数人。日立はルマーダを用いて「ろう付け技能訓練支援システム」を構築。新人の作業について、どこがマイスターの動きと違うのかが一目で分かるように「見える化」した。

 ダイキンは滋賀製作所(滋賀県草津市)で2017年からこのシステムを導入。かつて新人がラインに入るまで3カ月かかっていたが、今では1カ月半に短縮した。さらに中国や北米などにも順次展開し、世界同一品質を目指している。

 幅広い製品を生産・販売する総合電機メーカーだった日立のビジネスモデルは、この10年で大きく変貌を遂げた。現在はIoTやAI(人工知能)を活用し、社会や企業の課題を解決する付加価値の高いサービスを提供するビジネスが主力だ。ダイキンの技能継承のように、製造業のデジタル化を裏方として支援することが増えている。

 成長戦略の柱となるのが、ルマーダのグローバル展開だ。データを蓄積・分析するルマーダは、現場の生産効率向上のほかにも設備の故障予兆診断や需要予測、在庫の適正化などにも活用できる。日立は2021年度にルマーダで売上高1兆6000億円を目指している。すでに活用事例は1000以上に達したが、国内が多くを占め、海外拡大が成長の鍵となる。

 年内にはホンダ系の部品会社と車載子会社を統合させ、新会社を設立し、傘下に収める。東原敏昭社長は「部品から得られるデータをルマーダ上に蓄積することで新たなビジネスも創出したい」と意気込む。

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