自動車

「電池は資産だ」 中国でEVメーカーと車載電池大手がバッテリーリース新会社

 中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO)と車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は先月、EV用電池のリース事業を手掛けるベンチャー企業「武漢蔚能電池資産」を立ち上げた。EV購入時の顧客の初期費用負担を減らして、販売台数の増加につなげる狙いだ。NIOが8月20日、CATLとの独自の電池事業について発表した。

 車両価格は大幅低下

 車載用電池はEV部品の中で群を抜いて高く、原材料価格の変動が価格低下を難しくしている。電池をリースにすれば車両本体の価格は下がる。

 顧客は電池をリースして車体本体だけ購入できるほか、新たな電池への交換も可能で、技術の急速な進歩に伴い同じ車体に改良版電池を搭載できる。

 NIOによると、この販売モデルにより、同社のスポーツ用多目的車(SUV)「ES6」の電池抜きの価格は27万3600元(約425万円)から、電池のリース代は月980元となる。顧客はES6を電池込み34万3600元で購入する選択もできる。

 クレディスイスのアナリストらは8月半ば、電池リースの購入モデルについて、「購入価格をかなり下げることができる」と指摘していた。

 武漢蔚能電池資産は法人、個人向けにBaaS(バッテリー・アズ・ア・サービス)として、電池のリース、リサイクル、メンテナンス、充電のほか、研究開発、エネルギー貯蔵など電池資産事業を手掛ける。NIOとCATLが一部出資するほか、国泰君安国際、中国政府が支援する湖北省科技投資集団が出資者に名を連ね、当初2億元ずつ出資する。NIOの創業者兼最高経営責任者(CEO)の李斌氏は先月20日の事業発表時に、さらに多くの投資家の参加を考えていると説明している。

 EVメーカーの中でこれまで、個人向けに電池交換方式を採用しているのはNIOだけだ。ライバルの北京汽車集団は法人向けのみに同方式を展開している。

 CATLは質問に対する書面での回答で、「われわれはこのビジネスモデルに対して非常に強気だ。車体と電池を分ける方式において、電池は単なる動力源ではなく、重要な資産になる」と述べている。

 世界主要市場にらむ

 もっとも、車両本体と電池を分けて販売するBaaSコンセプトでNIOは優位に立つかもしれないが、依然として競争は厳しい。米EV大手テスラは今年、中国での新車登録台数が6万1000台を超えたが、NIOの7月までの販売台数は1万7702台にとどまる。

 NIOは海外では販売していないが、先月20日の李CEOの説明では、2021年下半期の欧州市場への進出を計画している。その翌年にはさらに販売地域が増え、23~24年までに同社は「世界の主要市場に参入している」(李CEO)という。

 中国自動車工業協会(CAAM)は、中国におけるEVなどニューエネルギー車(NEV)の販売台数が今年、110万台に達する見通しで、テスラは約1割を占めると予想している。中国政府が4月に発表した新規制では、中国本土における電池交換式車両の購入者は引き続き補助金の受給対象となっている。(ブルームバーグ Charlie Zhu、Chunying Zhang)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus