変貌する電機 2020年代の行方

事業間にシナジー、多様性が強み ソニー・吉田憲一郎社長に聞く

 この10年の構造改革や今後のソニーについて、吉田憲一郎社長に書面インタビューした。

 --この10年でソニーは何が変わったのか

 「多様な事業それぞれが自立し、強くなったことで、長期の視座に立った経営を行えるようになった。それらの事業間にシナジーも生まれ、多様性がソニーの強みになりつつある」

 --2013年の本体復帰後、早く構造改革を進めようと考えたことは何だったのか

 「エレクトロニクス事業の再生だった。やるべきことは目先の赤字を止めるための『選択と集中』と『ビジネスモデルの転換』と明確だった。構造改革と並行して、エレクトロニクス事業の分社化、財務情報の開示拡充、透明性の向上など経営の説明責任を高める取り組みも行った。結果として各事業の経営責任の明確化、個々の事業の強化につながった」

 --来年4月に社名をソニーグループに変更する

 「グループの全事業が時代や環境に即して進化するには、グループ本社も同時に進化する必要がある。各事業の進化を促進し、ポートフォリオの多様性を強みとするためのグループ経営施策について、私を含む経営チームで継続的に議論を重ねた結果、今回の判断に至った」

 --どんな役割を担うのか

 「グループ全体をリードすると同時に各事業を支援し、新規事業の探索やグループシナジー創出を促す高い使命感が求められる。主要事業会社のトップも参画する。各事業の意見を取り入れながら、今後のグループ本社の設計を行う。『SONY』というブランドはグループ最大の資産という位置付けは不変だ。引き続き全社を挙げて、その価値向上に努める」

 --創業者の一人である盛田昭夫氏が重視した長期視点の経営へのこだわりが強い

 「長期の視座に立った経営は持続的な社会価値と高収益の創出を目指す上でも重要だ。その実現に向けて、全社員が同じベクトルで取り組んでいけるように、19年1月にソニーグループの『Purpose(存在意義)&Values(価値観)』を設定した」

 「創業から74年が経過し、グローバルに多様な事業を展開する企業となり、さまざまなステークホルダー(利害関係者)に改めてソニーの存在意義や大切にすべき価値観を示すことが、これからの経営の根幹になるという思いもあった。Valuesの『夢と好奇心』と『多様性』はそれぞれ創業者の井深(大)と盛田がもたらし、後進に託した価値観だと思っている」

 --これからのソニーが目指すべき道は

 「新型コロナウイルスで先行き不透明な現在の環境下において、今ほど長期的視点や社会的価値を追求する姿勢が経営に求められる時代はない。持続的に社会価値を創出する企業への進化を続け、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurposeの実現を目指したい」

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