金融

経済政策の継承に課題 「スガノミクス」 コロナ後へ不可欠

 安倍晋三政権の屋台骨を支えた菅義偉(すが・よしひで)官房長官が14日、自民党総裁に選出され、経済政策「アベノミクス」の継承が確定した。とはいえ、グローバル化から自国優先主義への巻き戻しや新型コロナウイルスの感染拡大で失われた国富の回復など新政権は新たな課題に直面しており、単純な延長線上の政策運営はできない。コロナ禍を乗り越えた後の成長軌道を描き直すには、戦略の見直しが求められそうだ。

 菅氏は総裁選出後のあいさつで「国民一人一人が安心、安定した生活ができるよう、安倍総理の取り組みを継承し進めていく」と訴えた。コロナ禍でも雇用や事業を維持し、経済活動との両立を図りたい構えだ。

 ただ、新政権の船出を待ち構えるのは世界的な経済環境の激変という荒波だ。民主党政権時代の不況を鮮やかに反転したアベノミクスの再現は容易ではない。

 みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは、日本銀行の大規模金融緩和による円高の是正や多国間の経済連携協定の締結といった第2次安倍政権発足後の主要政策は「グローバリゼーションの継続を前提にした企業の国際競争力の回復」が目的だったと指摘する。

 足元では世界的な格差拡大を背景に保護主義が台頭し、米中の覇権争いで世界経済の分断も進む。新政権はグローバル化の反転に備えた新たな対応が必要だ。

 一方、足元では新型コロナで落ち込んだ景気の回復が優先課題だ。政府は10月1日から観光支援事業「Go To トラベル」に東京都を追加する方針だ。与野党内では個人消費の喚起策として安倍政権で2度増税した消費税の減税を期待する声もある。菅氏は社会保障の財源だとして否定的な姿勢だが、年内にも見込まれる衆院解散・総選挙で争点になる可能性がある。

 コロナ収束まで大規模な財政出動と金融緩和は変更の余地がなく、当面は縦割り行政の打破や携帯電話料金の引き下げなど内政で“菅カラー”を出しつつ手堅い政策運営が予想される。だが来年9月の任期満了後も続く長期政権を目指すなら、内外経済の潮流変化に向き合う「スガノミクス」を打ち出す必要がある。(田辺裕晶)

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