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「日産スピリッツそのもの」フェアレディZ 日産再建の柱、7代目試作車初公開

 日産自動車は16日、人気スポーツカー「フェアレディZ」の新型のプロトタイプ(試作車)を初めて公開した。2008年以来の全面改良となる7代目で、早ければ来年中にも発売する。初代をはじめ、歴代Zの特徴をヘッドライトなどに盛り込んだ。半世紀の歴史を持つZは、高性能で「走る楽しさ」がありながら価格や使い勝手の面で親しみやすい“みんなのスポーツカー”。内田誠社長はオンライン発表会で「日産のスピリッツそのもの。新たな伝説が始まる」と熱く宣言、経営再建の象徴としたい考えだ。

 斬新で懐かしい

 「貴婦人」という言葉に洗練された美しさ、アルファベット最後の文字に究極の意味を重ねたフェアレディZは、1969年に誕生した。内田氏は自身が最初に買った車と明かした上で、「ファンである私が発表できることを誇りに思う。革新の伝統を受け継ぐ」と語った。黄色い車体は試作車ながら「デザインはほぼ完成」(内田氏)し、現在は性能をエンジニアらが磨き上げている段階という。

 デザインは「斬新で懐かしい」(担当者)仕上がり。エンジンが載るボンネットが長く躍動感がある「ロングノーズ・ショートデッキ」形状をはじめとした歴代のモチーフは継承。一方で、未来的な印象のランプやフルデジタル表示のメーターなどの最新技術も取り入れた。

 初代は日本初のスポーツカーを世に出した技術を元に開発。約10年間で米国を中心に約52万台販売し、スポーツカーの単一型式では世界最多レベルとなった。その理由を内田氏は「世界のスポーツカーの常識を覆したため」と表現する。

 具体的には、加速性やデザインなどスポーツカー性能を維持しつつ、現在の価値で350万~400万円という手ごろな価格を実現した。一方でエンジン配置などを工夫し、走り一辺倒でそれまでの車両になかったトランクを装備。買い物や旅行にも使える「オールマイティーな魅力の“みんなのスポーツカー”を実現させた」と、関係者は解説する。そのコンセプトも継承されているという。

 「走る楽しさ」伝え

 スポーツカー市場自体は、排ガス規制や消費者の趣向の変化で次第に縮小。Zも2000年に生産中止の憂き目にあい、仏大手ルノーと企業連合を組む契機となった経営危機からの「復活ののろし」で02年に再登場するなど紆余(うよ)曲折を経たが、今も「世界的に知られる大きな資産」(関係者)だ。

 日産は、元会長のカルロス・ゴーン被告が進めた台数拡大路線の歪みなどから、2年連続の巨額赤字になる見通し。新型コロナウイルス禍もあって販売も冷え込む。電気自動車(EV)などの次世代技術に注力しつつ、量販商品ではないが車本来の「走る楽しさ」を伝えるZを、再生の象徴としたい狙いだ。(今村義丈)

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