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マスク拒否した乗客降ろす 海外往来が増えても「お願い」で乗り切るのか (1/3ページ)

 マスクの着用を促されたことから口論に発展し、運航の安全を妨げるとして乗客が飛行機から降ろされたトラブルが波紋を広げている。在英ジャーナリストのさかいもとみ氏は「諸外国の乗客が利用する航空業界で、『お願いベース』で着用を求めることは今後難しくなるだろう」と指摘する。

 トラブルを回避する方法はあったのか

 9月7日、北海道の釧路空港から関西空港に向かっていた格安航空(LCC)ピーチ・アビエーションの機内で、新型コロナウイルスの感染対策としてマスクをつけるよう求められた男性が、着用を拒否したことをめぐり、他の搭乗客や乗務員と口論になった。同機の機長は新潟空港での緊急着陸を選択、当該男性は機外へ出されることとなった。

 ピーチ社はじめ、大手の日本航空や全日空の公式HPにも「機内ではマスクを必ずご着用ください」と比較的強い表現で書かれている。しかし、これはあくまでも「要請」であり、この点を発端に大きな騒動へと発展した。

 果たしてこのようなトラブルは「起こるべくして起こったのか」、それとも「回避する方法」はあったのか。

 現在の日本での法整備の状況を、諸外国との比較を通して分析してみることにした。

 「マスク未着用」を理由に拘束する法律はない

 今回の「ピーチ機、新潟空港への緊急着陸」に際して、あのような「一連の行為」に対し、法的取り締まりが可能になる局面があったとしたらいつだったのだろうか?

 日本の現状では、チェックインカウンター→出発ゲート→搭乗までの段階で、マスク未着用行為そのものを取り締まる法律はない。例えば、未着用者が空港職員や他の乗客に暴力を振るったら別の罪状で問われるだろうが、いずれにしても「マスク未着用」だけを理由に逮捕、拘束できるような法整備はできていない。

 逆に「法に触れる行為だと訴えるタイミング」があるとしたら、出発後の機内で「機長判断で、航空機内における安全阻害行為等の禁止・処罰規定を定めた改正航空法(2004年1月施行)を適用」する時しかなさそうだ。

 同法によると、禁止命令の対象となる行為として「航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの」が挙げられている。今回の一件が、これに抵触するかどうかを今後争うことになるのかもしれない。ただ、違反による罰金は「50万円以下」となっている。

 赤羽一嘉国土交通相は15日、「トラブルを最小限にするため、航空会社は搭乗前にマスク着用の有無の確認や、着用できない理由の聴取などを徹底してほしい」と述べた。この発言を見る限り、国の立場としては、マスク着用の是非について引き続き「乗客へのお願いや確認」だけで済まそうとする考えがうかがわれる。

 ビジネス渡航を徐々に増やす方針だが…

 新型コロナの感染が広がり「水際対策」が始まって以来、外国人の日本入国は一部の例外を除いて不可能な状態が続いている。

 しかし、外務省は8月下旬になって、特定の国との間で双方向の往来を再開する「レジデンストラック」を徐々に認めはじめた。外務省の説明を借りると、「ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置を維持した上で、追加的な防疫措置を条件とする仕組みを試行する」と定義付けられている。したがって、以前のようにインバウンド観光客が押し寄せてくるという状況がすぐさま起こるのではないものの、今後は徐々に各国のビジネスマンが所定の手続きやPCR検査を済ませた上で訪日する動きが出てくることになる。

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