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携帯大手、値下げとデジタル基盤整備で板挟み

 KDDI(au)の高橋誠社長は25日、菅義偉首相の看板政策である携帯電話料金の値下げについて「真摯(しんし)に受け止め、対応方針を検討していきたい」と語った。だが、値下げへの対応は投資費用がかさむ第5世代(5G)移動通信システムの整備には足かせになる。政府の推進するデジタル化と携帯料金値下げのはざまで、携帯大手が対応に苦慮する姿が浮かぶ。

 同日に都内で開いた5Gサービスの発表会で語った。菅政権発足後、携帯大手首脳が携帯料金の値下げで発言するのは初。NTTドコモやソフトバンクなどの姿勢にも注目が集まる。

 高橋氏は携帯料金について国際的に比較して遜色ない価格水準が求められているとした上で「足りない部分があれば対応していく」と語った。だが、具体的な値下げ幅などについての言及は避けた。

 同社は平成29年に他社に先駆けて携帯料金と端末代金を分離したプランを導入するなど「これまでの政府の要請にいち早く対応してきた」と自負する。だが、菅首相はそれでも日本の携帯大手の水準は世界でも高く「国民の財産である電波を使っているのに20%もの営業利益率を上げ続けている」ことを批判する。

 実際、つながりやすさなどの通信品質などを考慮しても、日本の料金は高水準だ。総務省によると、世界の主要6都市のスマートフォンの料金プランは、データ容量が20ギガバイトの大容量プランで東京が月8175円と最も高額で英ロンドンの3倍、韓国ソウルの1・4倍に及ぶ。寡占の構造と相まって携帯大手の利益を高止まりさせているとみる。

 一方で、政府が掲げるデジタル化を推進するには、基盤となる5Gを普及させることも急務だ。だが、日本では商用サービスの開始が米国や韓国に比べ1年近くも遅れている。高橋氏も「スピード感を持って展開することが使命だ」と巻き返しに意欲をみせる。

 もっとも、携帯大手は全国での5G基地局の整備などに今後年間数千億円規模の投資が必要とみられる。こうした膨大な費用負担をにらみながら、一方で料金値下げの余地を検討しなければならず、相反する政府の要請への対応に難しいかじ取りが迫られている。(万福博之)

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