変貌する電機 2020年代の行方

総合電機の看板下ろす必要なし 三菱電機社長「データで利点」

 三菱電機の杉山武史社長に過去10年の取り組みや今後の事業戦略について話を聞いた。

 --過去10年、一度も赤字を計上していない

 「2010年代を総括するには、その前の10年間を語らないといけない。1997年度と98年度、2001年度、02年度に最終赤字に陥り、改革を行った。01年に財務やガバナンスの健全性を重視する『バランス経営』を掲げ、02年に事業の『選択と集中』の方針を打ち出した。そうした取り組みが固い経営基盤を作り、この10年の成長につながった」

 --環境の変化が激しいが、どう生き残りを図るのか

 「三菱電機は幅広い事業を展開している。他のメーカーにできない組み合わせができれば、大きな価値を生み出せる。そのためにビジネスイノベーション本部を立ち上げた。そこを目指さないと、中国や韓国メーカーの技術の信頼性が高まった時に対抗できなくなる。同じ土俵に上がらないことが大事だ。非常に危機感を感じている」

 --5月にIoT(モノのインターネット)基盤「クラリセンス」を発表した

 「単一で大規模データを分析する日立製作所の『ルマーダ』とは異なり、各分野に適した基盤を作り、他社とも簡単に連携できるのが特徴だ。今後も強い機器を作るのに手を抜かない。その機器から迅速にデータを収集・分析することで、価値の高いサービスを提供していく」

 --来年度スタートの中期経営計画で、事業ポートフォリオを見直す可能性は

 「収益性の低い事業から高い事業への人材の再配分・転換を考えている。従来は赤字を基準に事業継続の可否を判断してきたが、収益性の高い事業に人材をシフトしていく意思決定が必要だ。事業を行いながら、より良い形に組織を見直したい」

 --日立や東芝は事実上、総合電機の看板を下ろしている

 「幅広い事業を持つメリットは大きく、多くのデータを集められる。景気の影響を受ける事業と左右されない事業を持つことで安定を維持できる。看板を自ら下ろす必要はない」

 --2020年代はどういう社会になるとみているか

 「会社の方向性を決める上で3つの視点が重要になる。一つは新型コロナウイルスとの共生でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む。脱炭素の動きがあり、多様なエネルギーの活用が出てくる。米中の争いが激しくなり、経済安全保障にどう向き合うのかという課題も重要になってくると思う」

 --来年1月に創業100周年を迎えるが、次の100年はどういう会社でありたいか

 「重点4領域(モビリティー、ライフ、インフラ、インダストリー)で、さまざまな社会課題を解決することで『活力とゆとりある社会』、誰もが幸せに暮らせる社会の実現に貢献できる会社であり続けたい」

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