金融

メガバンク、異業種とデジタル提携加速 薄れゆく存在感…次世代金融に転換 (1/2ページ)

 【メガバンク再考】(上)

 「銀行はいずれ金融取引のインフラだけを提供する『土管』のような存在になりかねない」。みずほ銀行のあるOBは、NTTドコモの「ドコモ口座」で表面化した決済サービスの悪用問題を振り返り、危機感を募らせる。

 多くの被害者は、ドコモ口座を使ったこともなかった。連携する35行のうち、不正被害にあったほとんどの銀行は、預金者へのなりすましを防ぐ「2段階認証」などの安全対策を導入していない地方銀行だった。

 自前主義から脱却

 一方、みずほ銀行は対策をとっており、ドコモ口座の被害はなかったようだ。だが、疑いのまなざしが強まる中で9月16日、1年以上前に複数の電子決済サービスを使った不正な預金引き出しがあったと遡(さかのぼ)って発表した。

 かつて銀行は「信用」の代名詞だった。銀行マンといえば「堅くて真面目」なイメージの象徴だった。それが、金融犯罪に利用される立場におとしめられた。前述のOBの嘆きには、かつての権威や評価への自負も込められている。

 ちょうど20年前、2000年9月29日に第一勧業、富士、日本興業の3行が統合し、みずほグループが発足。これを機に、3メガバンク体制が確立されていくことになったが、この間、銀行をめぐる環境は激変した。

 人口減少と長引く低金利は銀行から本業の収益力を奪った。新型コロナウイルス感染症の拡大は、店舗や人を介さない非対面の金融取引を加速させた。

 金融のデジタル化が不可避となる中、銀行は自前主義から脱却し、最新のIT(情報技術)を持った異業種企業との協業を競う群雄割拠の時代に突入した。

 「次世代の金融に転換することで強い金融グループを目指す」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は昨年5月15日、就任後初となる新たな経営計画の発表会見でこう宣言した。打ち出したのは、非金融業領域の拡大による収益の多角化とデジタル化の推進。その戦略的な柱として据えたのが、“異業種との連携”だった。

 実際、2018年4月からの坂井体制下のみずほFGは、デジタル分野での提携を急加速させた。同年11月には無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)と組み、スマートフォンの利用に対応した新しいインターネット銀行を共同出資で立ち上げることを決めた。

 「自前主義だけで、若い頃からスマホに慣れ親しんだ世代と接点を作るには限界がある」。LINEとの提携会見でみずほFGの岡部俊胤(としつぐ)副社長は、銀行単独で新たな市場獲得と金融業の付加価値を生み出すのは無理だと認めた。

 LINEはわずか10年足らずで、8000万人の利用者と新たな経済圏を獲得していた。すでに3メガバンク合計の口座数と肩を並べる存在になっている現状に突き動かされた。

 IT企業進出の脅威

 LINEのようにITや人工知能(AI)を駆使し、新たな金融サービスを提供する「フィンテック」企業の台頭は銀行を追い込んだ。ネットを通じたキャッシュレス決済や国内外の送金、資産運用の自動化など利便性の高いサービスを次々に提供し、国境を簡単にまたぐ独自の通貨まで生み出そうとしている。

 この脅威に対し、自前主義からの脱却を急ぐのは他のメガバンクも同じだ。

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