金融

コロナ後必要な「目利き力」 金融仲介の本領発揮へ経営強靱化も (1/2ページ)

【メガバンク再考】(下)

 「信用コストが最大の懸念だ」。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が打撃を受ける中、みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は、経済活動の「血液」となるカネを市中に循環させる銀行の現状をこう指摘する。

 コロナ禍に伴う融資の焦げ付きに備えた与信関連費用は、2020年4~6月期で3メガの合計が約3000億円と、前年同期比で約60倍に拡大。感染が長引けば、不良債権となりかねない。

 収益悪化に苦しむ

 足元では、13年から始まった日本銀行の大規模金融緩和で貸出金利が低下し、3メガは収益悪化に苦しんでいる。

 金融庁によれば、3メガを含む主要7行の本業のもうけを示す実質業務純益は02年3月期に約4.2兆円だったが、20年3月期は約2兆円と半減した。

 今のところは邦銀の財務体質に問題はなく、国内金融システムは比較的安定している。しかし、世界的には銀行の収益が圧迫されているのは事実で、どの国が金融危機の起点になってもおかしくはない。日本でも企業倒産などがさらに増えれば、不良債権問題が再燃する火種がくすぶる。

 こうした状況に、全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は6月18日の会見で、「公的資金の注入の必要性が高まる状態にはない」と述べるなど不安払拭に躍起だ。

 約20年前、金融業界はバブル崩壊の後遺症が色濃かった。1998年には日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻し、一時国有化された。「次につぶれる銀行はどこか」という不穏な空気が漂っていた。

 99年8月20日、東京・内幸町の帝国ホテル。第一勧業、富士、日本興業の3行統合の記者会見で、富士銀の山本恵朗頭取は「世界の五指に入ることを目指す」と述べ、高揚感に包まれていた。

 不良債権を処理するためには規模拡大による効率化しかない。大手行にも公的資金が注入される中、体力の弱い銀行をつぶさない“護送船団方式”という金融行政が行き詰まっていたことも再編を後押しする。

 「再編に乗り遅れるのではないか」。みずほ誕生でこんな焦りが他の大手行の幹部に伝播する。

 当時、住友銀行の頭取だった西川善文氏は「(みずほが)実現すれば、これまでとは比べものにならない“メガバンク”の誕生になる」と危機感を募らせた。そして、みずほの発表からわずか2カ月後の99年10月、系列の枠を超えて三井系のさくら銀行との合併を発表した。

 05年10月には三菱東京FGがUFJホールディングス(HD)と合併して三菱UFJFGが誕生。大手は3メガバンク体制になった。メガを含む主要7行の不良債権比率は02年3月期の8.4%をピークに減少に転じ、足元の20年3月期には0.6%に低下。不良債権問題は一応の収束をみた。

 債権処理に追われ

 「リーマン・ショックの引き金となった高金利の金融商品(サブプライムローン)に手を出さなかったのが幸いした」。ある大手銀行の幹部は、自嘲気味にこう振り返る。

 08年9月に起きた世界的な金融危機「リーマン・ショック」。不良債権処理に追われていたため、皮肉にも3メガは高金利の金融商品に手が回らず、欧米銀行と比べれば、結果的に傷が浅く済んだ。

 3メガは10年9月中間決算で最終利益の合計が1兆円を超え、リーマン・ショック前の水準を回復し、財務体質を改善させていく。

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