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廃棄食用羊毛を純国産ウールに 老舗毛織物会社と北海道の牧場がタッグ

 廃棄されていた食用羊の毛を純国産ウールに-。愛知県一宮市の老舗毛織物メーカーが北海道の牧場などと手を組み、「ジャパンウールプロジェクト」を立ち上げた。メーカー社長は「発想は地産地消。日本人に買ってもらい、羊に関わる人が増えてほしい」と願う。

 一宮市をはじめとする愛知県西部と岐阜県の一部にまたがる尾州地域は、ウールを中心に毛織物の国内シェア約7割(尾州織物工業協同組合)を占める一大産地。質の高さから「尾州ウール」と呼ばれ、海外の有名ブランドにも採用されてきた。

 「これまでは宝物が捨てられていた。そんな感覚です」。1850年創業、一宮市の毛織物メーカー「中外国島」の伊藤核太郎社長(49)が説明する。国内には食用や観光牧場で約1万7000匹の羊が飼われているが、羊毛として販売するには泥や植物の繊維を取り除く手間が掛かるため、大半が廃棄処分にされてきたという。

 製品化へのきっかけは、伊藤さんが北海道内の牧羊場を訪ねたこと。「羊はもうからない」と言いながら、愛情を注いで羊を育てる農家を見て「羊毛を活用したい」と思い立った。名古屋市の毛刈り職人や京都市の羊毛鑑定士と協力。今年1月、国産の羊毛から生地を作るジャパンウールプロジェクトを立ち上げた。

 日本羊毛産業協会(大阪市)によると、国内では北海道や東北地方を中心に羊が飼われ、ピークの1957年には約95万匹がいた。61年の羊毛輸入自由化により、オーストラリアやニュージーランドから安価で品質の良い羊毛が手に入るようになり、国内の羊は減少の一途をたどった。

 同協会の専務理事、一井伸一さん(64)は「天然繊維を着ることはエコにもなる」と国産羊毛市場の拡大に期待する。

 伊藤さんによると、国産の羊毛に使われる品種「サフォーク」は日本の風土に合い、食用として生産性が高いため、国内で多く飼育されている。縮れが強く反発力があり、ツイード生地といったふくらみのある衣料品に向いているという。伊藤さんは自社工場で約30年使う織機で糸の張り具合を極限まで緩めながら試作を重ね、1月に純国産のツイードを完成させた。

 プロジェクトは共感を呼び、今年は北海道のほか、宮城、静岡、愛知、高知各県の牧場12カ所から羊毛約1.9トンを仕入れた。牧場ごとに環境が違う中でも羊毛の品質基準を統一し、さらなる増産を目指す。

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