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コンビニ大手が宅配強化競う セブン、配達時間を最短1時間に短縮

 新型コロナウイルスの感染拡大で消費者の生活様式が変わる中、コンビニ大手がネット注文で店から商品を届ける宅配サービスに力を入れている。セブン-イレブン・ジャパンは22日からスマートフォンで注文した商品を自宅に届ける「ネットコンビニ」サービスの実証実験で、最短配送時間を1時間に短縮。ローソンもウーバージャパンが展開する食事宅配サービス「ウーバーイーツ」経由で店舗商品を配達する取り組みを進めている。コロナ禍で利便性重視の新たな客層が生まれつつあり、利用が可能な店舗を拡大するなど対応を本格化している。

 セブンが宅配サービスで扱うのは、切手やたばこなどを除く店舗取扱商品約2800品目。店舗から半径500メートル圏内なら注文を受け、同社と契約した配送業者が届ける。注文最低額は税抜き1000円以上で、配送料は110~550円。2017年に北海道で実験を開始したのを皮切りに、昨年11月に広島県、今年7月には東京都でもサービスを始め、計約300店で対応中だ。

 現在は配送時間を選ぶことができるが、「利用実績をみると最短時間での配送希望者が多く、最短2時間という設定に『もっと早くして』という要望が挙がっていた」(担当者)という。将来的には最短30分の配送を目指すほか、対応店舗も21年度の早い時期に1000店に拡大する方針だ。

 ローソンは昨年8月、ウーバーイーツ経由で店舗商品を配達する取り組みを導入した。「開始当初から自宅への配送注文があったが、コロナ禍の外出自粛で増加した」(同社広報担当者)ため展開を加速。現在は22都道府県の1146店で対応する。

 ウーバーイーツでは日用品も含め店舗商品約300品目を取り扱う。今年8月の全店平均の客単価は716円だったが、ウーバーイーツ経由では1361円とまとめ買いの傾向が強い。リモート勤務の浸透で在宅率が上がり、都心のオフィス街の店舗では、近隣のマンション住民から昼間の注文も増えている。

 ファミリーマートもウーバーイーツ導入に向け、店舗オペレーションなどの確認のため実証実験中だ。

 コンビニ各社の店舗業績は、観光地やオフィス街で売り上げを落とし、住宅地は前年比を超えるなど、立地の影響を大きく受けている。消費者は日常の買い物も短時間で済ませる傾向が続き、コンビニも買い回り先の一つになっているが、「来店しない客に店舗から商品を提供するネット注文の仕組みは、加盟店に売り上げ確保策を提供する意味合いもある」(セブン担当者)という。(日野稚子)

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