しずおか・このひと

「現代の名工」スズキの板金工 山崎正人さん(55)コンマ数ミリの職人技「ものづくりは楽しくかっこいい」 (1/2ページ)

 厚生労働省から今年度の「現代の名工」に認定され、9日に表彰されたスズキの自動車板金工、山崎正人さん(55)は、試作車の板金部品の製作に30年以上携わってきた。社運をかけて開発される試作車にあって、部品の精度はその出来栄えを左右する。山崎さんは、時間と精度の両立という開発陣の厳しい要求に、自らの腕一本で黙々と応えてきた筋金入りの職人だ。(田中万紀)

 --現代の名工に選ばれました

 「自分ではまだまだと思っていますが、自分の手でものを作るのはかっこいいと思ってもらえるならば、うれしい限りです。試作車の部品作りは、寸法を取れていればいいわけではなく、時間との戦いです。短時間でクオリティーの高いものを作らなければならない。まだまだ勉強です」

 《現代の名工は、日本のものづくりを支える職人や技術者の地位と技能の向上のため、各分野で卓越した技能を持つ第一人者を表彰する制度。山崎さんは、どんなに複雑な金型であっても1枚の板金からハンマーだけでたたき出す腕と、目視と指先の感覚で車のボディーの0・01ミリの歪みまで感じ取る技術を持つ》

 --自動車板金工の魅力とは

 「板金は機械加工の基本です。2次元のものを3次元にして組み立てたらどうなるか考えながら形にするというものづくりは楽しいです。何かを作りたいと思うのは人間の本能なので、その延長線なのかもしれません。今は分業制ですが、一昔前は部品作りから組み立て、溶接まで一人でやっていたので、私は一人で車一台つくることもできます」

 --試作車の部品製作とはどのような仕事ですか

 「試作車が形として無理がないか検証し、問題点を確認するために依頼されるので、量産できない少数の部品を少しでも早く、クオリティーを上げて作ります。鉄板に寸法を書き、頭の中で形を思い描いて、作りながら考え、思い通りに仕上がれば最高にうれしいです」

 --鉄板をハンマーでたたいて人の手で部品を作るのですね

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