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携帯料金「むしろ高い方に誘導」 武田総務相が大手を痛烈批判

 武田良太総務相は27日の閣議後会見で、携帯電話料金の値下げをめぐり「料金が高い主力ブランドへの囲い込み策が存在している」と指摘し、「むしろ安い方から高い方に誘導している感じがある」と携帯大手を痛烈に批判した。

 政府の値下げ要請に対し、KDDI(au)やソフトバンクは格安ブランドで低料金プランを導入すると発表したが、複雑な手続きがプランの乗り換えを阻害しているとして、「利用者は料金が下がった実感が湧かない。何の意味もないと思う」と切り捨てた。

 武田氏は両社の新プラン発表に当初は「新しい選択肢が増えたことは評価できる」としていたが、今回は囲い込み策を踏まえて「選択肢に中身がない」と評価を改めた。

 同じ携帯会社でも主力ブランドから低廉な格安ブランドに料金プランを乗り換えるには、他の携帯会社からの乗り換えと同様にSIMロック解除や契約手続き、契約事務手数料などが必要になる。

 逆に、格安ブランドから主力ブランドへの乗り換えには手数料を0円にする優遇策があり、「料金が高いところから利用者が出ていかないように制度設計されている」と問題点を指摘した。

 武田氏が20日の閣議後会見で突如、主力ブランドの値下げに言及したのは、「囲い込み策があるなら、主力ブランドの価格を下げるしか、国民に実感をもってもらえないと思った」と説明した。

 この武田氏の発言に対し、KDDIの高橋誠社長が産経新聞などの取材で、主力ブランドの値下げには「即座に応じれない」と述べたことには、「非常にがっかりしたし、残念な思いがした」と語った。

 武田氏は携帯大手について「公共の電波を使った事業者が相当な利益を上げ、コロナ禍で窮している国民に還元しようとしない」という不満を吐露。「複雑なプランを使って、国民からさらに料金を取ろうとしている」とまで踏み込んだ発言をした。

 総務省では今後、携帯大手の乗り換え手続きの円滑化の取り組みなどについて毎月モニタリング調査を実施する方針だ。この調査結果を新たな電波の割り当ての際の判断材料にするという。武田氏は「消費者庁と連携して、利用者が自由にプランを移れるようにしっかりと指導したい」と力を込めた。

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