変貌する電機 2020年代の行方

パナソニック、大企業病からの脱却大前提 樋口泰行専務執行役員に聞く

 パナソニック専務執行役員でパナソニックコネクティッドソリューションズ(CNS)社の樋口泰行社長に、経営課題について書面インタビューした。

 --コモディティー(汎用(はんよう)品)化の進展で、電機各社はビジネスモデルの転換に取り組んでいる

 「私は1980年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、92年に退社して以降、約25年間にわたり、外資系企業で経験を積んだ。そこで学んだことは健全な企業文化の上にしか正しい経営戦略、ビジネス変革の実現は成り立たないということだ。あるべき企業文化を醸成しながら、ハードウエアの単品販売だけではなく、ソフトウエア、サービスなどを組み合わせて、トータルで顧客の課題を解決するソリューションビジネスへのシフト、ビジネスモデル変革を着実に実現することが重要だ」

 --CNS社のトップに就任してから、どのような変革を進めているのか

 「まず取り組んだのが本社の東京移転、フリーアドレス、ITツールの徹底活用、内向き仕事の排除、役員室廃止、服装の自由化などの『カルチャー&マインド改革』だ。従業員一人一人が顧客や世の中の動きを的確にキャッチアップし、スピードを上げて、有効な打ち手をタイムリーに立案、実行できるように行ってきた。大企業病から抜け出すことがビジネスモデル変革の大前提だと思う」

 --競合他社に比べて、リカーリング(継続課金)などのサービスで稼ぐビジネスモデルの転換が遅れている印象がある

 「新たなサービスを考える上で、まず大切なのは自社の強みを生かして、顧客の経営課題の解決に大きく貢献する付加価値の高い領域はどこかを見つけ出すことだ。そこに集中して、資源を投入する戦略的な経営判断をスピード感を持って行うことが重要だと思う。5月にリカーリングで確固たる実績を持つ米国のソフトウエア企業、ブルーヨンダーに出資したが、ハードウエアからソリューションへのビジネスモデル変革の大きな一歩になると考えている」

 --これからパナソニックはどういう会社であるべきか

 「企業の存在価値は事業を通じた社会への貢献にあるとし、より良い暮らし、より良い社会づくりに貢献して、結果として収益を得る企業でありたいという創業者の松下幸之助の経営理念の基本はこれからも変わらない。一方で変化のスピードに追随し、正しく変革できない企業は生き残れない。幹部や従業員全員が、今まで以上に暮らしや社会に役立てる領域を見つけ出して新しいビジネスの戦略を立案し、大胆に実行する会社にならないといけない」

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