金融

かんぽの郵政出資5割以下 悲願の上乗せ規制解消 グループの転換点に (1/2ページ)

 かんぽ生命保険が3千億円規模の自社株買いを実施する方針を固めたことが17日、分かった。自社株買いには64%出資する日本郵政が応じ、持ち分を一定程度売却して出資比率を50%以下に下げる。これにより、新規事業に国の認可が必要な規制が解消され、経営の自由度が高まる。郵政グループが不正販売問題を乗り越えて再成長に向かうための転換点になりそうだ。

 かんぽ生命の月内の取締役会で自社株買いを決める。自社株買いで自己資本が減るため、年明けに一部が資本とみなされる劣後債を1千億~2千億円規模で発行することを検討する。

 日本郵政傘下で政府が間接出資する形のかんぽ生命とゆうちょ銀行には、民業を圧迫しないよう郵政民営化法により、一般の銀行や保険会社より厳しく業務を制限する「上乗せ規制」が課されている。

 かんぽ生命では新商品を販売する際には国の認可が必要で、商品に対する意見募集が行われて事前に競合の生保会社に商品の内容がさらされたり、数カ月間の時間がかかったりして、経営の足かせになっていた。

 日本郵政の出資比率が5割以下になれば、規制が解消されて新規事業の認可が不要になり、事前の届け出で済む。競争力のある商品を機動的に市場に投入できるようになるため、郵政グループの悲願だった。

 日本郵政の増田寛也社長はかねてからグループの資本関係に強い問題意識を抱いており「(平成31年4月に実施した)ゆうちょ銀の貯金限度額の引き上げより、上乗せ規制撤廃を優先すべきだった」などと指摘。不正販売問題も上乗せ規制で保険商品の競争力が他社より劣る中で、過度なノルマを課された郵便局員が不正に手を染めた側面がある。

 もっとも、この1年は不正販売問題の対応に追われ続けた。問題の調査や顧客への補償、関係者の処分に道筋がつき、10月に保険営業再開にこぎ着けたことが節目になって、ようやく本来の経営課題に取り組むことができた形だ。

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