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福島洋上発電を全撤去 地元からは恨み節「高い勉強代」

 撤去が決まった福島県沖の浮体式洋上風力発電施設は東京電力福島第1原発事故からの「復興」の号令の下で始まった国策事業だった。「高い勉強代だったが教訓も多かった」と前向きに評価する専門家もいるが、地元からは「福島には何も残らなかった」と恨み節が漏れた。

 政府は現在2万キロワットほどの洋上風力の発電能力を2040年に最大4500万キロワットとする目標を掲げるが、撤去に至った背景には風力発電の産業基盤が国内で育っていない現状もある。福島沖の事業失敗を検証し、技術開発や産業育成に生かす必要がある。

 風力発電の専門家によると、福島県沖の風力発電機3基のうち2基は、陸上で動かした実績が十分でなかった段階で洋上に応用したため、想定よりも稼働率が低かった。経済産業省の担当者は「失敗がなければ成功もない。福島の実証研究から学べることは多くあり今後に生かせる」と強調するが、地元が抱いていた洋上風力による地域活性化への期待は裏切られた形だ。

 経産省は民間への引き継ぎを模索し続け、地元企業を含む2つの企業連合が名乗りを上げた。海底ケーブルなどの利用を希望し、新たに風力発電を設置する計画だったが、経産省は実績不足などを背景に長期的な事業継続が困難だと判断するに至った。応募した地元企業の幹部は「福島の企業が関われないのであれば、誰のための復興なのか」と憤った。

 三菱重工業や日立製作所といった大手メーカーの風力発電機生産からの撤退で産業基盤が脆弱(ぜいじゃく)なことも響いた。洋上風力発電の知見が十分に蓄積されておらず、同施設の再活用のハードルは高かった。

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