2021 成長への展望

セブン-イレブン・ジャパン社長、永松文彦さん コロナ禍見据え商品対応

 --2020年は新型コロナウイルス感染拡大対応に追われた1年だった

 「加盟店と従業員、お客さま、社員、取引先それぞれの安全・安心・健康をどう担保するかに最大注力した。これまで店舗戦略は『事業所型』『住宅型』『街道・行楽立地型』として展開していたが、コロナ禍によって、事業所型は『都心型』、行楽立地型は『郊外型』へと変化した。近隣や周辺に住む人が日常の買い物を賄うために使われるようになり、家庭内消費向け商品の売り上げが増えた」

 「同じ商品でも売れ筋は地域で異なる。例えばワインの売れ筋は住宅型は500~800円で、千代田区の事業所型は2000円。前年比で減ったとはいえ、売上高そのものは高いのが都心店。地域客の満足を得られるように品ぞろえを変えれば十分にやっていける」

 --21年のコロナ禍の見通しは

 「少なくとも春頃までは厳しい状況が続くだろう。希望は持っているがその後は分からない。政府の政策でどういう効果が出るか。行楽立地ではGoTo施策での効果が出ていたから」

 --人流も需要も変わったが、対応策は

 「コロナ禍の巣ごもり夕食需要で酒類が売れたので商品陳列レイアウトを変えている。コロナ禍の中でも徐々に販売傾向は変わっているので、さらに拡大すべき点はどこかを仮説を立てて対応する。例えば、売り上げが落ちたサンドイッチやおにぎりは、これまで家の外で食べるものだったが、(巣ごもりで)家庭で食べるのに適したサンドイッチはどんなものかを考え、対応するという具合だ」

 --宅配事業「ネットコンビニ」は21年に1000店を目標にしている

 「改善点を洗い出すテストの位置付けで、受注から30分で配達を実現するためのシステム構築や配送構築を進めている。コンビニエンスストアの強みは、家から近く買い物も短時間で済ませられる『タイムコンビニエンス』(時間の利便性)の要素が強い。スーパーは事前予約で時間の枠を取るが、われわれは今すぐ運び、ニーズに対応する。食事中、ビールが切れたらスマートフォンで注文して、食事中にビールが届く世界を実現したい。今夏には次の(地域拡大)段階に進めるかどうかが判断できるのではないか」

 --セブン&アイ・ホールディングスが電力を再生可能エネルギーで賄う「RE100」を宣言した

 「店舗省エネ化と店舗指導員が使う車両や配送車両の省エネ化。すぐにやれるし、既に動いている」

【プロフィル】永松文彦 ながまつ・ふみひこ 東京経済大経済学部卒。1980年セブン-イレブン・ジャパン入社。取締役人事本部管掌、副社長を経て、2019年4月から現職。東京都出身。

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