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2021年も、万全のコロナ対策を

 尚美学園大学教授・佐野慎輔

 厳しい年明けとなった。勢いが増した新型コロナウイルス感染拡大を受け、7日、首都圏1都3県に緊急事態宣言が再発令された。関西3府県や東海2県もこれに続くよう各知事が動いた。北陸地方は35年ぶりの大雪に見舞われ、懸念された複合災害の危機さえ想定される。

 箱根駅伝、人出85%減

 東京五輪・パラリンピックの開催については目下、めどとする3月を待たねばならないが、スポーツ界には明らかに影響が出てきた。恒例の箱根駅伝は沿道での応援自粛を呼び掛け、人出は前年の約121万人から85%減の約18万人(主催の関東学生陸上競技連盟発表)に減った。一方、テレビの平均視聴率は往路31.0%、復路33.7%。最終10区で駒沢大学が創価大学との3分19秒差を逆転する展開が要因だが、往路、復路とも歴代最高視聴率。外出自粛の影響を想定できよう。

 大相撲初場所は親方、力士らがPCR検査を受けて10日に初日を迎えた。横綱白鵬以下力士65人が休場、十両以上の関取16人の休場は戦後最多である。さらに広がれば途中打ち切る可能性もあるという。

 今後、計画したスポーツカレンダーにも変化が出てこよう。2~3月開催の東京マラソンはいち早く10月17日に移動したが、中止を余儀なくされる市民マラソン大会もある。移動制限が強化されれば、市民ランナーの参加もままならない。

 地域創生にも影響

 プロ野球は今のところ2月キャンプインで進んでいる。日本野球機構(NPB)はキャンプ地となる自治体と既に協議を重ね、対策を講じてきた。キャンプでは選手、スタッフなど大人数が移動する。さまざまな事態に備えなければならない。地元経済にも関わることだけにキャンプ地としては気をもむ状況は続く。

 プロ野球9球団がキャンプを予定する沖縄県の2020年春季キャンプの経済波及効果は121億6800万円。毎年、試算している「りゅうぎん総合研究所」のリポートによると、コロナ禍で過去最高だった19年の141億3100万円こそ下回ったが、過去3番目の効果である。観光県・沖縄にとっては重要な資源となっている。

 今年は長く久米島で練習してきた楽天が医療体制に配慮、沖縄本島の金武町に移転した。例年沖縄市でスタート、後半を宮崎県日南市に移動する広島もコロナ禍を考慮、沖縄に居座る。受け入れに万全を期したい。

 宮崎県は7日、県独自に緊急事態宣言を出した。1日の感染者数は目立たないが、直近1週間の10万人当たりの感染者数は36.4人。首都圏に匹敵する。宮崎でキャンプする球団はソフトバンク、西武と巨人の人気3球団。影響は大きい。

 宮崎県観光振興課はプロ野球に加えてJリーグや陸上競技、バスケットボールなども合わせてキャンプの経済波及効果を試算している。昨年春季は83億500万円を記録。今年春季は過去最多の107億6900万円を想定している。だからこそ早く抑え込みたい。スポーツによる地域創生が叫ばれて久しいが、その分影響も大きいのだ。

 プロ野球は12日、Jリーグとの「対策連絡会議」と臨時の12球団代表者会議を開催。今後起こりうる事態に備える。緊急事態が続けば3月26日に予定される開幕にも影響は及ぶ。

【プロフィル】佐野慎輔

 さの・しんすけ 1954年富山県高岡市生まれ。早大卒。サンケイスポーツ代表、産経新聞編集局次長兼運動部長などを経て産経新聞客員論説委員。笹川スポーツ財団理事・上席特別研究員、日本オリンピックアカデミー理事、早大および立教大兼任講師などを務める。専門はスポーツメディア論、スポーツ政策とスポーツ史。著書に『嘉納治五郎』『中村裕』『スポーツと地方創生』(共著)など多数。

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