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フォリフォリジャパン/ムツミグローバルフーズネットワーク 機内食需要激減

 ▼フォリフォリジャパン フォリフォリジャパンは2月19日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

 ギリシャ発祥の婦人向け時計・アクセサリーブランド「Folli Follie(フォリフォリ)」事業を日本で展開していた。ギリシャの親会社グループの傘下で、全国の百貨店などにも積極的に出店しピーク時の2006年2月期の売上高は約55億3100万円に上った。

 しかし、その後は他社ブランドとの競合などから苦戦し、19年12月期(決算期変更)の売上高は約30億円にとどまった。

 また、この間にギリシャの親会社で粉飾決算やマネーロンダリングの疑いなどの不祥事が発覚したことで、親会社の信用性が低下。親会社からの支援が困難となった上、20年以降は新型コロナウイルスの感染拡大で日本での販売も減少したことから、今年2月までに一部事業を別会社に事業譲渡し、今回の措置となった。

 ▼ムツミグローバルフーズネットワーク ムツミグローバルフーズネットワークと関連会社のフードリンケージは2月12日までに事後処理を弁護士に一任した。

 ムツミグローバルフーズネットワークは水産・農産・食肉加工品など、各種食料品の卸販売を手掛けていた。中間業者を省略した独自ルートの仕入れによる価格競争力に強みがあり、専門商社や食品加工業者への卸販売のほか、近年は機内食向け食材の加工販売にも注力。千葉県八街市に設置したプロセスセンターを拠点に、航空会社の系列企業や機内食専門業者との取引を拡大させ、2020年6月期には売上高51億9298万円を計上した。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴う航空機の運航停止や減便で機内食需要が激減し、業績が悪化。新型コロナ関連融資を調達してしのぎ、スーパーマーケットなど巣ごもり需要向けの商品販売にも取り組んでいたが、ここにきて資金繰りが限界に達した。

 プロセスセンターで食品加工業を手掛けていたフードリンケージは親会社に連鎖して今回の事態となった。

【会社概要】フォリフォリジャパン

 ▽本社=東京都渋谷区

 ▽設立=1985年4月

 ▽資本金=1億円

 ▽負債額=約13億4000万円

【会社概要】ムツミグローバルフーズネットワーク

 ▽本社=東京都中央区

 ▽設立=2007年7月

 ▽資本金=9500万円

 ▽負債額=約48億円 (関連会社含む)

 〈チェックポイント〉

 フォリフォリジャパンは親会社の経営不安が表面化して以来、資金支援が見込めなくなった。各国に販売網を広げて知名度はあったが、日本では人気に陰りも見えていた。新型コロナウイルスの影響があったとはいえ、かつての人気が維持できていれば親会社依存からの脱却など、また違った展開もあったかもしれない。

 ムツミグローバルフーズネットワークは、主力事業に成長した機内食向けの食材の需要が新型コロナの直撃を受けて激減した。右肩上がりで業容拡大を続けてきたが、同時に金融債務も膨張して返済負担が重荷となった。銀行借入や社債発行を繰り返した末の突然死で、取引金融機関にも波紋が広がっている。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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