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「あのケーキがなければ…」閉店危機の店を救った“芸能人御用達”スイーツ (2/4ページ)

「エンリケ」さんへのDMが奏功

 インスタグラムやツイッターなどで他のユーザーへの影響力が大きい芸能人や文化人は「インフルエンサー」と呼ばれる。100万人規模のフォロワーを抱える人も少なくない。

 「もしお口に合えば、拡散していただければ…とDM(ダイレクトメッセージ)でインフルエンサーの芸能人にコンタクトを取り、送付先を聞いたうえで、チーズケーキを送りました」

 白羽の矢を立てたのは、タレントや実業家、YouTuberとして活躍する「エンリケ」こと小川えりさんだった。金村さんの戦略は奏功し、小川さんはじめ、モデルら多くの芸能関係者がチーズケーキをインスタグラムに掲載し、瞬く間に拡散していった。

 インスタグラムを通じて「1人1ホール食べられる」「今まで食べた中でいちばんおいしい」といった反応が寄せられているという。チーズケーキは現在、1日約200個(ホール)が売れ、JR金沢駅のスペイン料理店の屋台骨を支えている。金村さんはしみじみと語った。

 「あのチーズケーキがなければ、店はつぶれています。救世主です」

コロナ禍にオープンした飲食店の戦略

 飲食店経営では、従業員の人件費や賃料などの固定費が重くのしかかる。東京・五反田の創作フランス料理店「kitchen g3」はコロナ禍の昨年8月にプレオープンし、同9月に正式オープンしたばかりだったが、SNSで1万5000円の「特製お取り寄せセット」の販売を告知したところ、100個を即日完売した。

 しかし、オープン間もない飲食店のSNSが、これほどまでの影響力があるのか。オーナーシェフの山口弘さん(39)は「実は10年前から個人でSNSを続けていました。少しずつフォロワーが増え、それが財産になりました」と明かす。

 山口さんは大阪で修業を積み、都内有数の高級住宅地、東京・渋谷の神泉町にある鉄板焼き店で料理長として勤務。銀座ではビストロ、三軒茶屋では創作フランス料理店を経営した経験を持つ。一貫して続けていたのがSNSの更新だった。「どんな些細なことでも書いて、投稿を続けることが大切です。こんなメニューを作ったなあと、後になって備忘録にもなります」と話す。

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