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半導体世界最大手・台湾TSMC、11兆円投資で需要争奪 インテル・サムスンに対抗

 半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、半導体の生産能力を強化するため今後3年で1000億ドル(約11兆円)を投じる計画を明らかにしている。電子機器や自動車向けの旺盛な需要に対応。世界的な半導体不足の中で米インテルや韓国サムスン電子も大規模な設備投資計画を相次いで発表しており、シェア争いをにらんだ動きが熱を帯びている。

 数千人を新規雇用

 TSMCはこれまで2021年は最大280億ドルの設備投資を計画していた。世界的に半導体不足が顕著となっており、最近のトレンドや動向が一段の生産能力増強を後押ししている。同社は相次ぐ需要に対応するため各業界の顧客と協力する方針を示していた。

 現地メディアによると、TSMCは「当社は先端半導体技術の生産と研究開発を支援するため、生産能力の増強に向けて今後3年で1000億米ドルを投じる見込みだ。持続的な方法で顧客のニーズに応じるため、顧客と緊密に協力している」との声明を発表した。

 同社の魏哲家・最高経営責任者(CEO)は取引先宛ての書簡で「過去1年以上にわたり100%を上回る稼働率で半導体受託製造を行ってきたが、なお供給が需要に追いつかない。数千人の新たな従業員を雇用し、複数の新施設を建設している」とした上で来年初めからウエハー価格の値引きを1年間、一時停止すると表明した。ブルームバーグが書簡を入手した。

 同社は米アップルなど電子機器大手やクアルコム、エヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)など半導体大手、それに他の半導体設計会社からの製造依頼を一手に担っており、同社が量産する半導体は電子機器、スマートフォン、スマート冷蔵庫、コネクテッドカー(つながるクルマ)の部品として使われている。

 半導体業界では、米最大手のインテルが3月、TSMCと直接的に競合する半導体受託製造事業の参入に向け、200億ドルを投じて米アリゾナ州に2つの新工場を建設する計画を発表。サムスンも半導体事業拡大に向け10年間で1000億ドルを上回る規模の投資を行っている。

 自動車の打撃深刻

 半導体不足による打撃は特に自動車メーカーで深刻化しており、米フォード・モーターは3月31日、売れ筋のピックアップトラック「F-150」を製造する2工場で生産を一時休止すると発表した。トラックメーカーのパッカーも同日、半導体不足で1~3月期の納車台数が約3000台減少したことを明らかにした。

 コンサルティング会社のアリックスパートナーズは、半導体不足により、自動車業界の今年の売上高は610億ドル減る可能性があると指摘している。4~6月期に見込まれていた自動車の生産回復は一段と遅れる可能性がある。

 自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは「生産は増加するどころか減少しており、需給バランスは悪化する一方だ」と述べた。

 半導体各社が消費者向け製品の生産を優先させているため、自動車向けの半導体は入手が一段と困難になっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による巣ごもり需要で、スマートフォンやテレビ、コンピューター向けの注文が大幅に増え、予想以上に持ち直した自動車需要に回せる分が少なくなっている。(ブルームバーグ Debby Wu、Skylar Woodhouse)

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