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職場接種が本格スタート ワクチン地域格差まざまざ

 新型コロナウイルスのワクチン接種を職場などで受けられるようにする「職場接種」が21日、本格的に始まった。現役世代への接種加速が期待されるが、医療従事者を独自で確保する必要があることなどから、実施は大企業が中心だ。取引先など中小企業へ接種対象を広げる取り組みも広がるが、大企業の拠点のない地域では遅れが目立つ。政府の大規模接種会場も都市部に集中しており、ワクチン接種をめぐって地域格差が浮き彫りとなってきた。

 「これでお客さまに安心してご来店いただける」。東京都港区のドコモショップの店長を務める黒羽祐美子さん(30)は、ワクチン接種を終えると笑顔を見せた。

 NTTドコモも21日、東京都千代田区の本社で職場接種を開始した。当面は顧客対応を担うドコモショップ店員や完全にテレワークすることが困難な通信設備の保守を担う技術者らを優先し、3カ月後には全国の社員やショップ店員ら約10万人のうち希望者への接種を完了させる方針だ。

 ほかにも日本郵政やパナソニックなど、名だたる企業が同日から職場接種を開始した。政府によると、18日時点で計3258会場から申請があり、今後も接種を始める企業は増えるとみられ、最終的な接種予定人数は約1300万人に上る見通しとなっている。

 ただ、労働者の約7割が働く中小企業などからは戸惑いの声も上がる。職場接種は自治体による接種の妨げとならないよう、医師や会場は企業が自ら確保する必要があり、産業医などがいない中小企業では実施が困難だからだ。

 政府の要請もあり、一部では大手企業が取引先や、食堂業者、清掃業者などに接種対象を拡大する動きも出始めているが、大手企業の拠点のない地方都市などは遅れが目立つ。

 例えば秋田県で職場接種の承認を受けた企業は3社にとどまるという。政府は大企業の拠点のない地域では、中小企業同士が連携して一定の人数を確保した上で実施することを推奨するが、同県の担当者は「検討はしているが、医療従事者の確保がネックになっている」とこぼす。奈良県の大和高田商工会議所にも、会員企業から接種を希望する声が届くが、打ち手に加え、接種会場の確保など課題は多く、実施の可否を含めて検討中だという。

 こうした状況に、政府も中小企業の職場接種を推進するため、接種1回当たり1000円を上限とした運営費用の補助を行うなど、支援策を講じている。ただ、ある地方自治体の担当者は「高齢者に接種する医師の確保すらままならない状況だ」と話しており、人材面も含めた支援が求められている。

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