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「iPhoneと同じことが起きる」アップルカーは3年以内に自動車業界を根本から変える (2/3ページ)

 事業構造を見ても、ハード、ソフト、コンテンツ、クラウドなど広範な事業領域をカバーしつつも、主な売上はiPhoneによるものです。その意味でアップルは典型的な「ものづくり」の会社であり、やはりメーカーなのです。

 であるならば当然、アップルカーにおいてもiPhone同様のインダストリアルデザインを追求してくるはずです。外部委託による水平分業としながらも、自社工場なみに生産管理を徹底し、細部までデザインにこだわりぬいたプロダクトを発表してくるでしょうし、ユーザーもまたそれを期待しています。

 ■車でも「新しいライフスタイル」を提供するはずだ

 (3)「製品」のみならず「エコシステム」にこだわる

 アップルはものづくりの会社ですが、これまで論じたとおり、アップルがハードとしての車を提供するだけにとどまることもないはずです。iPhoneがiOSやアプリ販売のアップストア、音楽配信のアップルミュージックなど各種のサービスからなるエコシステムの中心に位置しているように、「アップルカー」では、スマートカーを中心に置いた新しい生活サービスのエコシステムを構築してくるに違いありません。

 (4)「自分らしく生きる」ライフスタイルブランドとしての車

 アップルは、製品を通じて「新しいライフスタイル」を提案することで、熱狂的なファンを生み出してきたブランドでもあることを忘れるわけにはいきません。例えば携帯音楽プレイヤーのiPod。音楽データ配信サービス「iTunes」と併せて提供することで、音楽=CDで聴くものから、音楽=データ配信で聴くものに刷新し、「いつでもどこでも、聴きたい音楽を買い、聴ける」という新しいライフスタイルを提案しました。

 またテレビCMでは「Thinkdifferent」というメッセージを打ち出し、「自分らしく生きる」人々を後押ししてきたアップルです。アップルカーもまた単なる車というより、ライフスタイルブランドとして提供してくるはず。そこに込められた信念や価値観に共感するユーザーが、アップルカーのユーザーになるのです。

 ■直接顧客とつながり、コミュニティを育む

 (5)気候変動対策

 アップルは2030年までのサプライチェーンのカーボンニュートラル(CO2排出量と吸収量を合わせてゼロの状態)にコミットしました。これにより、今後はアップルに部品を提供しているサプライチェーン全体をカーボンニュートラルにすることを目指すでしょう。EVであるアップルカーは、アップルのこうした取り組みを象徴するプロダクトとも言えます。もし日本の自動車メーカーがアップルカーの受託生産を請け負うことになれば、当然、カーボンニュートラルへの対応を迫られることになります。

 (6)ディーラーに代わる新たな販売網

 アップルカーは売れるのか。あるいはどう売るのか。そこはいまだ未知数ですが、ここではテスラやペロトン(第6章参照)が先行事例となるでしょう。

 アップルは、テスラ、ペロトンと並んで高いNPS(ネット・プロモーター・スコア)を誇っています。この3社の共通点は、D2C(Direct to Consumer)の会社であること、そしてリアル店舗を持っていることです。ただしリアル店舗といっても従来の小売、非デジタルネイティブの会社とは一線を画しています。そこは顧客体験を作る場であり、コミュニティを作る場所なのです。

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